中国 支援も情報も届かない被災地

中国・広西洪水 支援届かず「何日も食べ物がない」

2026/07/21 更新: 2026/07/21

洪水が去っても、被災者の苦しみは終わっていない。

中国・広西チワン族自治区横州市では、記録的な豪雨で養殖池や複数のダムが決壊し、大洪水が発生した。道路や橋は流され、多くの山間部の集落が孤立。支援物資が届かず、住民からは「何日も食べ物がない」との悲痛な声が上がっている。

現地からは被災者がSOSを訴える投稿を絶えず発信している。しかし、その多くが中国当局の検閲で次々と削除されている。一部は削除前に海外のSNSへ転載され、それらから被災地の一端がうかがえるものの、被害の全容はいまも見えていない。

こうした中、本紙姉妹メディアのNTD新唐人テレビは、被災地の住民や救援活動に参加したボランティアに電話取材を行い、現地の深刻な実態を確認した。

住民らによると、豪雨で養殖池やダムが決壊すると、わずか2分ほどで濁流が町へ流れ込み、水位は住宅の2階近くまで達した。橋や堤防は次々と崩れ、道路や田畑は流失し、数百棟の住宅が被害を受けたとみられる。

道路が寸断されたため車は入れず、救援物資は徒歩で運ぶしかなかった。ボランティアらは20か所以上の土砂崩れを越えながら山道を進み、ようやく孤立した集落へたどり着いたという。

支援の届かない村では、3~4日間何も食べられなかった住民もいた。最初に助けを求めて外へ出た人は、崩れた山道を2日間歩き続けてようやく救援を呼ぶことができた。

洪水が引いた後も、村には鶏やアヒルなどの死骸や大量のごみが放置され、腐敗が進んで悪臭が漂っている。撤去作業は追いつかず、今なお支援物資が届かない集落も残されている。

 



中国広西洪水 ダム決壊の舞台裏 取材記事が翌日削除

中国・広西のダム決壊の「真相」を伝えた記事が封殺に遭った。現場責任者は、放流ゲート故障や判断の遅れ、工事不備を証言。豪雨だけでは説明できない「防げたかもしれない災害」の実態とは

 

一方、中国当局は救援物資が山積みになった映像を公開しているが、被災者によれば実際に配られた物資は生活を支えるには到底足りず、まったく支援が届かない集落もあったという。

住民らは「本当の死者数は政府しか知らない」と口をそろえる。救援活動に参加したボランティアも、「横州洪水の本当の犠牲者数は歴史の謎になるだろう」とSNSに投稿し、「夜中に何度も目が覚め、そのたびに泣いた。水に数日つかった遺体が道路脇に流れ着き、行方不明者も非常に多かった」と、現場で目にした凄惨な光景を振り返っている。

NTD新唐人テレビの電話取材に加え、本紙の取材でも、鎮龍郷では土石流で集落全体が埋まり、一つの村だけでも少なくとも約500人が生き埋めになった可能性があることが分かった。住民やボランティアは「重機で掘るたびに遺体が見つかる。しかし、ネットに投稿すればアカウントは停止される」と実情を明かした。

今回の洪水で最も深刻な被害をもたらした六藍ダムの決壊を巡っては、中国メディア「南方週末」が現場責任者への取材を基に、放流ゲートの故障や観測システムの停止、上級機関との連絡不能、緊急放流の遅れ、完成検査を終えていない補強工事など、複数の問題が重なって被害が拡大したと報じた。しかし、この記事は掲載翌日に削除された。

支援が届かない被災地では、いまも多くの人が厳しい生活を強いられている。その実態を伝える映像や証言まで消される中、広西で何が起きたのか、その全容はいまなお明らかになっていない。

 



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李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!
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