トランプ大統領は、米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」の大幅な縮小と前倒し終了を指示した。トランプ氏は、金正恩氏が自身の呼びかけに応じたとの認識も示した。北朝鮮の官製メディアは米韓演習を批判したが、トランプ氏を名指ししなかった。一方、中国共産党(中共)の王毅外相も韓国入りした。王毅が韓国を公式訪問するのは2021年以来となる。
米韓両国は当初、8月17日から27日までの11日間、定例合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」を実施する予定だった。韓国軍約1万8千人が参加し、「防御作戦演習」と「反攻演習」の2段階で行われる計画だったが、関係者によると、21日に予定より早く終了する。
アメリカ国防総省は声明で、トランプ氏の指示に基づき演習を前倒しで終了すると発表した。規模は縮小するものの、「必要な即応態勢と訓練目標は維持する」としている。
演習縮小の理由について、トランプ氏は先にSNSで、米韓演習は北朝鮮に対して敵対的だとの認識を示した。さらに、韓国の李在明大統領がイランの非核化を進めるアメリカの取り組みに協力しなかったとして、韓国側から相応の協力が得られていないと不満を示し、演習の大幅縮小を求めた。
台湾国防安全研究院戦略・資源研究所の蘇紫雲所長は、「表向きには、韓国がアメリカのペルシャ湾での行動を支持しなかったことを理由としている。ただ、背景には李在明政権が王毅氏の訪韓を受け入れたことへの反発もあるのではないか。アメリカが韓国との軍事協力を縮小する可能性を示し、けん制している」と分析した。
さらに、「高市早苗首相も湾岸での行動を支援していないが、日本は中共と対立する立場を取っているため、トランプ氏は在日米軍は縮小していない。同じ条件なのに、なぜ韓国だけを名指ししたのか。日本と韓国の対中姿勢の違いがある」と指摘した。
米韓軍事同盟の歴史上、大規模な実戦想定演習が始まった後、米大統領の指示で途中から前倒し終了となるのは初めてだ。
軍事系チャンネル「マーク時空」の司会者、馬克氏は、アメリカがこれまで日米韓3か国の連携を強化し、中共と北朝鮮に対抗しようとしてきたと指摘した。
そのうえで、「李在明氏は中国との関係改善を進める一方、日本との関係では摩擦を招いている。こうした状況は、韓国にとって必ずしも好ましいものではない。現在の国際情勢でどちら側に立つかを明確にしなければ、アメリカが韓国を完全に見放すことはなくても、特に軍事面での支援を弱め、韓国自身により多くの負担を求めることはあり得る」と述べた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は今回の米韓演習を「軍事的脅威」だと非難した。ただし、論評ではトランプ氏を直接名指ししなかった。
馬克氏は、金正恩氏がロシアとの関係を強めている点にも言及した。
「北朝鮮は多額の外貨を得ているほか、エネルギーや軍事技術面でも支援を受けている。金正恩氏は今後もロシアとの関係を強化し、中共への依存から徐々に離れようとするだろう。一方で、トランプ氏との直接的な関係構築も望んでいる。これも自らの独立性を高め、中共の影響力から距離を置く狙いがある」と分析した。
一方、王毅は19日、約5年ぶりとなる韓国公式訪問のため韓国入りした。
蘇氏は今回の訪韓について、「習近平が以前北朝鮮を訪問したのは、ロシアの影響力とのバランスを取る狙いがあった。王毅の訪韓も、韓国との関係を修復し、外交上のバランスを取り直す意味がある」と指摘した。
さらに、「今回の訪問で具体的な成果を出すことより、戦略的なバランスを図ること自体に意味がある。習が北朝鮮を訪れ、王毅が韓国を訪れることで、まずは南北双方との関係を整えようとしている」と述べた。
李在明氏は20日、王毅と会談する予定で、両者は韓中関係の今後や地域情勢について意見を交わす見通しだ。
蘇氏は李在明政権について、「選挙期間中には台湾海峡問題は韓国とは無関係だという姿勢を示していたが、現在はやや修正している」と指摘した。
そのうえで、「ただ、トランプ氏から見れば、韓国が中共に接近しているように映り、同盟国としての立場が揺らいでいると受け止めている。トランプ政権は第一列島線、特に台湾防衛を最重要課題の一つと位置付けている。在韓米軍第8軍も将来、朝鮮半島を離れ、第一列島線での作戦支援に投入する可能性を公に述べている」と語った。
今回の会談で台湾問題が議題に含まれるのか、また韓国政府が関連問題についてどのような立場を示すのか注目している。
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