中国新聞出版総署、歴史文学分野の出版物八件を発禁処分

2007/01/22 更新: 2007/01/22

【大紀元日本1月22日】中国新聞出版総署はこのほど、北京在住の著名作家・章詒和氏の著書『伶人往事』などを含む歴史文学分野の出版物八件を新たに発禁処分とした。これらの著書は、中国知識層が中国現代史について再考するものであり、内容は中共中央宣伝部に「許容の限度を超えている」と批判されたため、発禁となったという。

香港紙・南華早報によると、中共新聞出版総署副所長・●書林(ウー・シュウリン)氏が先般の宣伝・出版会議上で、あらたに出版物8件の発禁処分にし、発行元の出版社を厳重処分とすると発表した。(※●鳥におおざと)

発禁処分となった『伶人往事』の章詒和氏は『往事並不如煙』などの一連の回顧録が中国内外でベストセラーとなった人気女性作家。章氏は、1942年9月6日に重慶で、「中国民主同盟」創始者にして中国の「右派頭目」と当局からみなされている章伯均氏を父親として、母・李健生との間に生まれた。現在は、作家兼中国芸術研究院戯曲研究所研究員、中国民主同盟の会員として北京に在住している。

章詒和氏の作品が発禁処分となったのには、その「右派」の出生が関係していると中共新聞出版総署副所長・鄥書林氏が公言した。章詒和氏の父親・章伯均氏は、中国共産党が政権を入手後、最初の民主党連盟のトップ人物で、1950年代末共産党統治下で行われた大規模な政治運動「反右派闘争」で、「右派の頭目」として最も激しく共産党から批判され、攻撃を受けた経緯がある。章詒和氏が書いた一連の回顧録は、「反右派闘争」の時代を中心に「文化大革命」後に至るまでの章氏一家及び周辺の人々、主として「右派」のレッテルを貼られた人物像を描いたものである。

情報筋によると、鄥書林副所長は、会議の席上『伶人往事』を発行した湖南出版社に「どうして章詒和の著作を出したのか?」と直接質問した。湖南出版社の幹部人事では、大規模な更迭粛正があり、さらに罰金を科せられ、今後の出版業務に制限が加えられた。

発禁処分となった8冊には、『伶人往事』のほか、個人的な視点によって辛亥革命から大躍進の中国までを描いた『滄桑』(暁剣・著)の、民主活動家・姚立法氏の半生を描いたノンフィクション文学『我反対:一個人大代表的参政伝奇』(朱凌・著)、解放戦争以来の一般中国人家庭を描いた『一個普通中国人的家族』」(国亜・著)、人民日報の元編集・袁鷹氏の回顧録『風雲側-我在人民日報副刊的歳月』、50年代から80年代までの中国歴史上の大きな出来事を顧みる歴史叢書『年代懐舊叢書』(曠晨・編)、疫病発生時、市当局の情報秘匿をインターネットで知った女性が副市長の愛人をやめる小説『如焉』(胡發雲・著)、家庭をもつ女性ジャーナリストの新聞業界退職後の世渡りを描いた『新聞界』(朱華祥・著)などがある。

中共内部筋の談話によると、中共中央宣伝部の認識では、これらの八件は「一線」を越えており、同副所長は会議上で、「これら書物の回顧録エピソードのなかには、国家機密漏洩に抵触するものがある」と述べた。

一連の発禁処分は、中共当局が民衆に真相が伝わるのを恐れ、権力基盤を安定させるために、近代史に対する民主的な討論を抑制しようと情報伝達を掌握したものだと香港メディアが指摘した。

章詒和氏は、自著が発禁処分となったことについて公憤を覚え、北京当局に説明を求めている。章詒和氏は「1950年代から、中国の知識層は当局によって弾圧されてきた。現在もこの状況は、変わっていない」と憤懣やる方ないが、以降も作品は発表し続け、真相を暴露することに余念がないことに変わりがないという。章氏のその他の作品、『往事並不如煙』『一陣風、留下千古絶唱』もまた大陸では発禁処分となっている。

『如焉』の著者・胡發雲氏は、今回の処分を「荒唐無稽」と斬り捨て、「このインターネットが普及した情報化の時代に、当局が情報統制をしてもいずれは伝わる」と当局の発禁処分を風刺的に批判している。

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