【大紀元日本1月21日】デンマークの大手新聞紙ベリンスケ・チデンデが1月9日、評論コラムで特約評論家、元国会議員のビゴ・フィスチェア(Viggo Fischer)の長編評論を掲載、テーマは、「中国当局にオリンピック開催の承諾を履行させる」。その概略は、次の通り。
権力侵害行為。中国当局はかつて、北京がオリンピックの開催を招致できたら、中国の人権状況を改善させると約束した。しかし、現時点までの状況は非常に深刻である。各国のトップや、大臣、宗教指導者などは通常、人権を勝ち取る闘争の前列に立っている。彼らは正義を堅持し、声を発するべきだ。
今年8月8日、第29回オリンピックは北京市で開催される予定。アムネスティ・インターナショナルの報道によると、中国当局は招致活動の際に、北京市が開催都市として選ばれれば、中国の人権状況を改善すると、宣言していた。
いま、オリンピックの開幕までにわずか7ヶ月しか残されていないが、中国当局が上記の承諾を履行した兆しがまったくない。
アムネスティは、2007年10月に作成した報告書で、「彼の地(中国)での人権状況を深く憂慮している」と記した。同報告書によると、中国国民が、法的審理がないままで逮捕され、強制労働収容所に投獄されている。また、インターネットが厳重に監視されているため、中国当局は引き続き人権活動家を拘束・騒乱している。この国は依然、死刑執行者数が最も多い国家である。年間では1千人以上が処刑されている。その他の組織の統計によれば、実際の人数は8千人に達する。アムネスティの報告書によれば、国際オリンピック委員会に(北京五輪に反対する)公開状を送った人々を監禁している。彼らは中国の人権改善を求め、五輪の施設建設のために、市民の家屋の強制転居を強いる当局を強く非難し、多くは違法行為であると指摘している。
アムネスティのこの報告書が出される以前に、一連の情報が明らかになっている。最も注目されているのは、国連特別調査官のマンフレッド・ノーワック(Manfred Nowak)氏が2006年3月に、国連人権委員会に提出した調査報告書。同氏は、(中国で)依然として、拷問が普遍的に存在すると指摘、多くの詳細な内情を報告した。それによると、罪人と断定された人々は1日24時間中に手錠をかけられ、計画的な虐待などを受けている。目的は彼らの意志を崩し、罪を認めさせること。2007年3月米国務省が作成した人権報告書では、中国では大規模な恣意的な逮捕が進行し続けている。2005年の権威ある統計データによれば、約50万人が310箇所の強制労働収容所に監禁されている。中国当局は法的審理をせずに、このような監禁施設に人々を4年以上拘束できる。
往々にして、一部の個別案件を通して、この独裁政権の行いを明白に説明できる。以前、旧ソ連で発生していた少数の勇敢なる反抗者を制する弾圧システムが同様に、今の中国で発生している。
我々が特に注意すべきなのは、最も成功し、有名である国内の弁護士・高智晟氏の状況である。彼が中国当局の行為を指摘・非難した後に科せられた処遇に最も注目すべきだ。同弁護士は2001年「全国最優秀弁護士10人」に選ばれていた。同弁護士は中国最高指導者に対し、自由を追い求める人々への迫害を停止するよう呼びかけていた。その後の2005年11月、中国の関係当局が同弁護士の法律事務所を強制閉鎖した。非常に残忍な暴力・拷問を受けている人々の代弁者として、彼は当局に上申した。その中、同弁護士が明かした最も注意すべき事は、刑務官が監禁中の女性の生殖器官を痛めつけたことだ。
2006年秋、同弁護士の当局への批判的な言論により、彼は、「国家権力の転覆を図る」と断罪され、同年12月22日、有期懲役3年、執行猶予5年、公民権剥奪1年間との有罪判決を受けた。2006年12月24日、中国当局の機関紙「人民日報」は、同弁護士は罪を認めたと報じた。その直後、ニューヨーク・タイムズ紙は同弁護士の証言を引用、自分は強要され、精神的強い圧力を科せられた情況下において罪を認めた、などと報じた。その報道によると、同弁護士は拷問を受けていた。取調べの警官は、彼が提示された罪を公で認めるまでに、彼の妻と子供を懲罰し続ける、と繰り返し脅したという。
中国当局の認識では、同弁護士の罪の一つは、信仰自由を要求することおよび法輪功修練者への残酷な迫害の停止を求めたこと。
2007年に、同弁護士は再び拘束された。米に渡り、米国の「保護弁護士協会」の表彰を受けさせないためだ。同年9月22日に、彼は逮捕された後、いまだに行方不明である。
『独立中文作家の会』(Independent Chinese PEN Center)は、中国の国家主席に呼びかけ、無条件に同弁護士を釈放することなどを求めた。
歴史上、完全に一致するものはないことから、今日の中国の現状も30年代のドイツと簡単に比較してはならない。しかし、2008年北京五輪の序幕を目の当たりにし、1936年のベルリン・オリンピックを思い出さざるを得ないのではないだろうか。
当時オリンピックを前に、ドイツの独裁主義者は全力を注いで世界世論の圧力を解消しようとしていた。ナチス政治の人種差別が1935年のニュルンベルク条約で詳細に定義されたため、ユダヤ人がシドニー・オリンピックへの参加ができるようなり、米国によるボイコット運動が回避できた。当時の国際オリンピック委員会(IOC)の会長は、すべての来賓と参加者に対し、ヒトラーが誠意を持って彼らを招待するはずと説明し、人権がいかなる形でも侵害されるのではないかと心配する必要はないと明言した。
当時、我がデンマークでは、唯一べルリン・オリンピックに協力しなかったのは、保守党の党首John Christ-mas Moller氏だった。しかし、デンマークが大規模な代表団を結成した。結局、オリンピックはナチス・ドイツに重要な宣伝効果をもたらす反面、(ナチスに)迫害されている人々の状況は改善されなかった。今後、世界は北京五輪に注目するはず。少なくとも、ブッシュ大統領が中国当局の招待、大会期間中に北京を訪れると決定した。その結果、北京五輪ボイコット運動の効果が薄められてしまった。
中国当局はオリンピック開催により強い注目を受けているため、人々は再び中国の人権侵害問題を注意し始める可能性もある。
各国のリーダー、最高指導部のメンバー、およびその他の精神運動のリーダーらは通常人権抗争を率いている。彼らはオリンピックが開催される前に、北京を訪れ、窮地に立たされている中国の自由・民主活動家たちのために大声を発し、中国当局に対し(人権改善の)約束の履行を要求すべきだ。
これまでの経験により、例え、独裁政権の指導者でも、自分たちの行為が暴露されるのを避けたいである。そのため、チベット問題を議論し、ダライ・ラマの平和解決の提案を支持、チベット人の国籍と文化を尊重、日増しに強くなっている台湾への軍事脅威を解消させ、法輪功への集団迫害に注目し、中国当局に拷問の禁止などを要求すべき。
これまでに、中国当局がオリンピックを主催できる資格があるどうかについては、立証されていない。しかし、この世界の大舞台で、その背後にある真実を完全に隠し通せないはずだ。2002年、IOCの会長は声明を発表、オリンピック組織活動の一環として、人権への厳重な侵害という、この問題の解決に十分に取り組みしなければ、IOCが行動を取る、と表明した。現在、IOCがこの約束を履行すべき理由がすべて揃っているのだ。
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