【大紀元日本12月16日】香港新界元朗地区のある養鶏場から高病原性鳥インフルエンザが発生した。香港政府は12月9日、発生地およびそこから半径3キロ以内にあるもう1つの養鶏場の鶏合計8万羽、それに長沙湾臨時卸市場にある約1万羽の鶏を緊急処分した。香港の養鶏場で鳥インフルエンザが発生したのは6年振り。これに対して、香港政府は鳥インフルエンザの対応レベルを上げ、厳重な警備態勢を取った。同時に、活きた鶏の輸出を禁止し、家禽の輸入も21日間禁止を決めた。
一方、香港大学医学院感染および伝染病センター総監督・何柏良氏は、ワクチン接種済みの鶏も感染したことは尋常ではないとし、ウイルスが変異した可能性、またはワクチンは生産過程で合格基準に達していなかったなど、徹底的な調査を行うことを促した。
*元朗地区鳳降村の養鶏場が感染
香港食品・衛生局の周一岳局長は9日、元朗の鳳降村の養鶏場の経営者から12月8日に60羽の鶏が大量死したとの報告を受けたと示した。これに対して、政府関係者は現場から3羽の死んだ鶏と鶏糞サンプルを数十個採集し、9日午前、H5N1型ウイルスを検出し、鳥インフルエンザの感染が確認された。
一方、養鶏場の経営者と従業員6人はマーガレット病院へ送られ、検査を行ったが、鳥インフルエンザの症状はなかった。
当局関係作業者は鶏をバケツに入れてから二酸化炭素を注入し、鶏を処分する(政府新聞局)
*21日間、生きた家禽の輸入禁止
当局は活きた鶏の輸出を禁止し、家禽の輸入も21日間禁止した現在は、冷凍の鶏のみ輸入ができる。魚農衛生防護作業者はこの期間中にすべての農場を回り、サンプルを採集・測定し、ウイルス感染が拡大していないことを保証する。食品衛生局も主な町の洗浄作業を行うと発表した。
周局長は、他の養鶏場が感染した場合に、香港にある約60万羽の鶏をすべて処分する可能性もあると示した。また、感染した鶏の市場流入について、周局長は、感染した鶏はすべてが処分されたはずだとし、感染した養鶏場から8日から出荷していないことから感染の拡大心配はないとした。
当局関係作業者は感染した養鶏場で殺菌薬用粉末を撒き、徹底的に消毒を行った(政府新聞局)
*ウイルス感染、野鳥経由の可能性大
今回の鳥インフルエンザの感染ルートについて、周局長は最初に大量死した鶏は種鶏で、次いでがワクチン接種しなかった「歩哨鶏」の大量死が発生した。しかし、一部ワクチン接種済みの鶏も感染したことから、ウイルスが変異したことも排除できないと示した。
周局長は、野鳥が養鶏場に進入した、または従業員の靴底などに付着した野鳥の糞が養鶏場に持ち込まれたなど、野鳥経由で鶏が鳥インフルエンザに感染した可能性が大きいと示した。
一方、香港中文大学生物化学部の陳竟明福教授は政府に対し、現在使用しているワクチンの種類や、香港で養鶏を継続すべきかなどを検討することを示した。陳氏は、鶏を処分するだけでは鳥インフルエンザ感染の問題を解決できないとした。
今回処分した鶏約6万羽について、香港当局により1羽30元(約420円)が補償されるが、経営者は200万元(約2800万円)を超える損失を蒙った。
香港で大規模の鳥インフルエンザ発生は2002年2月以来。当時、錦田区養鶏場で1か月間に86万羽の鶏を処分し、賠償金額は2,600万元(約3億6400万円)に上った。2003年1月、元朗地区にある複数の養鶏場からN5H1型ウイルスが検出され、当局はさらに1万羽の鶏を処分した。
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