天安門前の警備(Mark RALSTON/AFP)
【大紀元日本11月8日】4年に一度の選挙と5年に一度の大会、重なるのは20年に一度。今年はそんな珍しい年。激闘が繰り広げられた米大統領選はオバマ大統領の再選で閉幕した翌日に、暗闘が未だうごめく中国共産党大会が開幕した。
せめぎ合いで迎える党大会
8日から北京の人民大会堂で始まる第18回共産党大会では、10年に一度の中国の指導部交代が行われる。胡錦濤氏から習近平氏へと、共産党トップの座となる党総書記のポストが引き継がれると見られるが、指導部人事をめぐり、各勢力のせめぎ合いが直前まで続いた。
党大会開催日は通常より1ヶ月遅い9月の末にようやく発表され、同日には、重慶市元トップで江沢民一派の実力者だった薄煕来氏の党籍剥奪と司法機関への送致が決定された。一定の収束を見せた党内の対立はその後、温家宝首相一族の不正蓄財が報道されたことで再び浮上。江沢民と周永康(政法委書記)サイドのリークによるものとも見られる同報道の直後、薄氏に対する刑事捜査を開始することが発表され、江一派の巻き返しを封じ込む胡主席ら指導部の姿勢が示された。
さらに、これまで党大会後に発表されていた軍指導部人事も今回は開催前から胡氏寄りの人事が相次ぎ発表され、激しい権力闘争の中、胡氏が軍部で足元を固めることを優先させた構図が浮かび上がった。
抜本的政治改革は不可能
そういった中で迎えた今日の開幕。党内の権力闘争が激化するかたわら、中国社会は経済成長の鈍化や環境問題、共産党幹部の腐敗や所得格差の拡大など、日々深刻化する課題に直面している。これらの問題で国民の不満がくすぶり、抗議活動の激増は今や共産党の支配体制の存続まで脅かしている。「中国のいい時期は過ぎた。制度全体を変えなければならない」。老幹部の子弟となる太子党メンバーは英フィナンシャル・タイムズの取材でこう認めた。
同紙はほかの太子党メンバーの話として、中国は今、「もっともやらなければならないことは政治改革である」「体制内の人も含め、すべての中国人はこのことに賛成している」と指摘。人民日報傘下の環球時報もこのほど、全国代表都市で行ったアンケート調査では、8割を超える回答者が政治改革を支持するとの結果が出たと報じ、注目されている。
一方、政治改革の内容について、回答の多くが「政府は市民やメディアの監督を受けるべき」「政策決定が民主的になるべき」などに止まっていることについて、香港城市大学の鄭宇碩教授は、独立で自由なメディアがない限り、人民代表大会制度である限り、施策への監督や民主的な政策決定は実現されないとの見方を示した。
共産党指導部が瀬踏みしようとする政治改革は、「限度ある改革」であり、「共産党の政治権力独占に触れないことが条件だ」と同教授は指摘。フィナンシャル・タイムズも、多くの改革推進派は新体制が抜本的な政治改革を行うことを楽観視していないと報じている。
今日から14日までの党大会では約200人の党中央委員が選ばれ、続く15日からの党中央委員会第1回全体会議(1中全会)で、今までの権力闘争の狙い目となった政治局員と政治局常務委員の構成が明らかになる。「共産党は過去30年ですでに、手の届く果実はすべて摘み取った」。北京大学の張健助教授はこのように語り、新体制がどのようなメンバー構成であっても、「共産党は自らを制限し、権力を国民に返すような改革を実施することは不可能だ」と指摘した。
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