【大紀元日本9月30日】香港の次期行政長官選挙制度をめぐって行われている抗議デモは連日、数万人が参加するなど拡大の勢いを見せている。市民らは梁振英長官の辞職を求めているほか、「打倒共産党」のスローガンも掲げた。中国当局は民主化を求める動きが本土に飛び火しかねないとネット検閲を強化し、国営紙も一斉に批判の記事を掲載した。一方、英紙「インディペンデント」は「今日の香港は明日の中国」と抗議活動を善処しなければ、本土に波及するのは時間の問題だとの見方を示した。
大学生や民主派ら数万人が28日、香港中心部を占拠すると発表した。警察隊は同日、催涙ガスを使用し、40人の負傷者が出たほか、140人以上の人が逮捕された。1997年にイギリスから返還されてから最悪の騒乱状態に陥った香港だが、中国本土では国営紙が批判記事を掲載した以外、デモを取り上げたメディアはなかった。
共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は社説で、「香港の政治改革に関する中央政府の決定を取り消すことはできない。反対派はこれを分かっているはずだ」と民主派を批判した。さらに、「香港は一国両制度によって守られているが、情勢の変化次第で武装警察の派遣も法的な問題はない」と武力弾圧の可能性をほのめかした。
国営英字紙チャイナ・デーリーは、10月1日に香港の金融街「中環(セントラル)」を占拠する計画を呼び掛けた団体について、「香港の金融街をまひさせようとする過激的な団体」と批判した。
さらに、デモの様子が中国本土のネット利用者の目に触れないよう、微博などでデモの主催団体「中環占拠」という言葉を使用禁止にした。人気の写真共有サービス「インスタグラム」ユーザーが9月29日の発表によると、中国本土では同サービスがダウンしている。また、中央宣伝部は国内全てのウェブサイトに対し、香港デモに関するあらゆる情報を「直ちに」削除するよう命じたという。
一方、英紙インディペンデントは評論記事で、「香港市民の要求は合法で正当なもの」とデモを支持し、「香港は大きく成長した」と中国政府がこれ以上、力で香港の民意を押さえ込むのは不可能と述べた。さらに、「香港市民の声に耳を傾けなければ、今日の香港は明日の中国だ」と対香港政策の転換を促した。
1日から中国の建国記念日で大型連休が始まり、さらに多くの市民がデモに参加すると予想され、「中国政府が適切に対処しなければ、事態はさらにエスカレートする」との見方が出ている。
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