中国当局は18日、2017年国内総生産(GDP)は物価変動を除く実質で前年比6.9%増となったと発表した。当局は、昨年のGDP成長率は成長率目標「6.5%前後」をクリアし、7年ぶりに前年を上回り加速したとした。しかし、海外メディアから中国当局のGDP統計の信ぴょう性を疑問視する声が上がった。
中国当局の発表では、中国のGDP規模は2012年の50兆元、14年60兆元、16年70兆円と17年の80兆元と年々拡大してきた。成長率では、10年から14%までは毎年減速したが7%台を維持してきた。しかし、成長率は15年に7%台を割り6.9%まで下落した。16年には、成長率が6.7%とさらに落ち込んだ。
米紙・ニューヨークタイムズ(18日付)の報道によると「中国の年間成長率データは安定している。しかし、他の多くの国とは異なり四半期GDP成長率も安定していて、データは疑わしい」との見解を示した。
同紙によると、「政治が主要原因だ。地方政府の幹部らは、中央政府が設定した目標を達成しなければならない圧力に常に直面している」と延べた。
同報道によると、ニューヨークに本部を置く経済調査機関「全米産業審議会(Conference Board)」が中国経済を研究して得た17年GDP成長率は、中国当局の公表よりやや低いという。
また、英シンクタンク「イノド・エコノミクス(Enodo Economics)」が計算した中国経済の成長率は当局の公表より低い結果となっている。
地方政府のGDP水増し問題
中国当局のGDP統計の信ぴょう性は常に疑問視されている。昨年1月、遼寧省当局が省レベル政府として初めて、過去省内の経済統計データの水増し問題を認めた。
また、内モンゴル自治区当局は今月初め、16年度の工業増加値を約4割水増ししたと発表した。
さらに、天津市濱海新区当局は11日、同区の16年度GDP規模は実際6600億元余りで、このほど発表した1兆元ではないと改めて公表した。
中国国内経済専門家の茅于軾氏は大紀元に対して、中国の経済データねつ造問題は以前から存在すると指摘した。「中央政府はGDP成長率を基準に、地方官員の昇格などを決めてきた。また、中国のGDP統計手法において多くの不明瞭なところがあるため、地方幹部にとってねつ造しやすい」とした。
また、中国時事評論家の魏楨凌氏は、各地方政府がGDPデータねつ造を自白したのは経済情勢の悪化を反映したと分析。
「地方政府の財政は中央政府からの資金に頼っている。GDP成長率をねつ造して好景気をでっちあげると、中央政府からの補助金が少なくなる。今、各地の住宅の在庫率が高く、国有企業も赤字経営で、地方政府の税収が減っている。この状況の下で、地方政府が仕方なく実態を白状したのだろう」。
中国国営新華社通信の過去の報道によると、国家審計署(会計検査院に相当)の元副審計長の董大勝氏は、15年3月中国人民政治協商会議(政協、国政助言機関)の関連会議に出席した際、過去数年中国の経済データのねつ造は「非常に深刻だ」と発言した。
債務急増でGDPの価値が半減
前述の「全米産業審議会」はニューヨークタイムズに対して、17年中国経済が減速から加速に転じたにもかかわず、「成長率の大部分は、債務によって生み出された」との懸念を示した。
一方、米シンクタンク「外交問題評議会(CFR)」研究員のベン・スティル氏とベンジャミン・デラ・ロッカ氏が11日、CFRホームページに評論を掲載し、中国経済に潜む債務拡大リスクを警告した。
両氏は、15年と16年中国株価大暴落以降、中国当局は景気刺激策として信用を拡大し、赤字経営の国営企業に対して与信を続けてきた。
「短期的に、中国経済は信用と投資の拡大によって、成長が加速する。しかし長期的に、信用と投資拡大で不良債権が急増するだろう。現在最大の問題は、中国がどれほどの不良債権を抱えているのか、そして今後またどれほどの不良債権を作り出すのかにある」と指摘した。
両氏の研究では、11年から16年まで中国民間企業の収益が18%の増加に対して、国有企業の収益は33%減となった。また、中国債務総規模に占める国有企業の負債の割合は10年の59%から16年の80%に拡大した。
「不良債権を計上すれば、中国の本当のGDP成長率は当局が発表する6.9%の半分もないだろう」。
また、両氏は中国当局は現在も、債務返済能力のないゾンビ企業に対して与信をしていると批判した。両研究員は、将来中国では債務危機発生の可能性が高いと強い警戒感を示した。
(翻訳編集・張哲)
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