公益社団法人日本記者クラブは8日、中国チベット自治区への取材団派遣をめぐって、取材団の一員である産経新聞が中国当局から査証(ビザ)発給を認められなかったのを受けて、取材団派遣の中止を発表した。チベット亡命政府関係者はこのほど、日本記者クラブの対応は、各国メディアの「手本」だと称賛した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が13日報じた。
日本記者クラブは、今月17日から25日の日程で、中国チベット自治区に取材団を派遣する予定だった。取材団は11社の報道機関から構成される。なかには、中国当局が「反中国共産党」メディアと見なす産経新聞の記者も含まれていた。
RFAによると、駐日中国大使館は5月31日に、日本記者クラブに対して、「申請資料が不十分だ」として産経新聞の記者にビザ発給を認めないと伝えた。日本記者クラブの関係者は同日、中国大使館に対して、再検討するよう促した。
今月6日、中国大使館は「決定を維持する」と日本記者クラブに返答してきた。これを受けて、同クラブは取材団派遣を中止したほか、原田亮介・理事長が7日付けの書面で、程永華・駐日中国大使に遺憾の意を伝えた。
ガンデンポタン(チベット亡命政府)駐オーストラリア事務所のケルサン・ギャルツェン(Kelsang Gyaltsen)氏はRFAに対して、中国当局の報道・言論規制に抗議した日本記者クラブの決定は、世界各国のメディアの「よい手本」になったと述べた。
ギャルツェン氏は、中国当局の許可がなければ、海外報道機関がチベットに入り、自由に取材することは不可能だとした。「当局統治下のチベットの『繁栄ぶり』を宣伝してくれる海外メディアなら、チベットに入れる。実際、中国当局のために宣伝する海外メディアは少なくない」
(翻訳編集・張哲)
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