ムニューシン米財務長官は21日、為替操作国認定基準の変更に前向きな姿勢を示した。実現されれば、中国を為替操作国に指定する可能性が高くなる見通しだ。
米財務省は17日発表した半期に一度の為替報告書で、中国の為替操作国認定を見送り、監視対象に指定した。
ムニューシン財務長官は訪問先のイスラエルでブルームバーグに対して、「ある時点でわれわれは基準を変更するかどうか検討する可能性がある」と述べた。
同報道によると、長官は基準変更に2つの方法があるとした。一つ目は『1988年包括通商・競争力法』第3004条をさらに活用すること。「これによって、2015年に承認された『貿易円滑化および貿易執行法』に基づく特定の判断基準で正当化されてなくても、特定の国を為替操作国として認定できるようになる」もう一つは、ある国が競争的な通貨切り下げをしているか否かを判断する財務省の審査方針自体を変えること。
米政府は1988年から1994年まで、中国を数回為替操作国に認定したことがある。1994年、世界貿易機構(WTO)設立以降、米はその定義基準を2回変更した。現行の認定基準として、巨額の対米貿易黒字(200億ドル超過)、大幅な経常黒字(国内総生産、GDP比3%超)、持続的かつ一方的な為替介入(年間ネット為替介入額がGDPの2%超)の3項目にすべて抵触することがあげられている。
中国の場合は、第1項目の巨額の対米貿易黒字のみの抵触のため、1994年以降為替操作国に指定されていない。
米財政部が17日に発表した34ページに及ぶ為替報告書は、中国についての記述は過去最多となった
同報告書では、中国が為替介入について情報開示をしないことについて「極めて遺憾だ」と述べられている。また、「各国が自国通貨の上昇圧力と同様に、下落圧力に抵抗しているかどうかを注視する」「中国当局は、人民元の上昇を阻止するために介入してきたが、元の下落に対して積極的に介入していない」と示された。
米シンクタンク外交問題評議会(CFR)の経済学者、ブラッド・セッツァー(Brad Setser)氏は17日Twitterで、トランプ政権は中国の為替政策を一段と注意を払っていくとの見方を示した。「今後、中国の元高抑制措置と元安抑制措置の両方への監視を強めるだろう」
米財務省は最新為替報告書で、初めて中国当局による為替介入の歴史を紹介した。財務省は、中国当局が国内経済政策や法律を利用して、長期的に人民元安を誘導したことで、中国は国際貿易において有利な位置を占めてきたと批判。
財務省は、4月の為替報告書で、米中貿易不均衡に関する中国側の改善が乏しいことに「強く注視していく」にとどまった。10月17日公表の同報告書では中国についての言い回しが厳しかった。中国側の通貨政策は不透明だと直接批判した上、最近の元安にも強い懸念を示した。
ブルームバーグ19日付によれば、市場関係者は、米財務省の最新報告書は中国に対する「最終警告」であると捉えている。
(翻訳編集・張哲)
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