中国広西チワン族自治区の桂林市臨桂新区政府はこのほど、不動産企業に対して住宅物件の販売価格を値下げしないよう要求した。違反した企業は謝罪し、なかには値下げしないと誓約書を書かされた企業もあった。
中国版ツイッター「微博」のユーザー、「桂林房市資訊」の投稿によると、9月20日、区政府は「住宅価格の安定維持会議」で、販売物件の値下げを行った不動産デベロッパー大手、碧桂園控股有限公司(カントリー・ガーデン、以下は碧桂園)を名指して批判し、各不動産企業に対して「悪意のある値下げ行為をしないよう」にと要求した。
また、区政府は各企業に住宅価格の下落を避けるよう指示した。碧桂園の地域執行総裁は謝罪し、恒大集団、新城控股、金科地産などの不動産大手は次々と、値下げをしないと誓約書に署名したという。
湖北省や江蘇省などの各地方政府も、不動産企業に値引きを禁じた。
この投稿によれば、不動産開発を管轄する桂林市住宅建設局は、臨桂新区における碧桂園のすべてのプロジェクトを一時停止する措置を取った。
インターネット上で、碧桂園で物件を購入したネットユーザーは、碧桂園は9月13日前後、1平方メートル当たり6000元(約8万9628円)の物件を1平方メートル当たり3900元(約5万8258円)まで減額したとコメントを書き込んだ。
ネットユーザーの多くは、市政府が碧桂園の経営活動に直接に介入したと糾弾した。「値下げは企業の自主行為で、区政府の批判は完全に違法な市場介入だ。経済活動をわかっていない連中による野蛮な行為だ。2015年以降、住宅価格が急騰したにもかかわらず、なぜ当局は何も言わなかったのか?」
今年に入ってから、中国当局は、金融リスクの拡大を警戒し、銀行融資が不動産企業に流れないように規制を強めた。米中貿易戦での景気後退に伴い、各企業が資金難に陥っている。碧桂園や恒大集団など各不動産大手は、資金回収のために、相次いで販売促進を行っている。
中国メディアによれば、恒大集団は8月20日、全国532件の分譲マンションを対象に「22%オフ活動」を行った。また、同社は9月末頃、各中小都市の分譲物件を3割引きにすると伝えた。
桂林市のほか、湖北省恩施市の不動産業協会も今年6月、「市の不動産市場価格の安定化に関する通知」を公布し、10種類の「市場秩序をかく乱する値下げ行為」を並べた。市民は、通知は実質上「住宅価格の値下げ禁止令」であると指摘した。
同省武漢市政府がこのほど、不動産企業に対して、毛坯房(内装していない物件)の販売価格を値引きすれば、販売許可書を取り上げると警告した。
また2月と3月、江蘇省邳州市と江西省贛州市贛県区も、不動産企業に対して住宅販売価格の値引きを禁止した。
中国の地方政府の財政は、土地と不動産関連収入、いわゆる「土地財政」に強く依存している。各地方政府が住宅販売価格の値下げを禁止したのは、財政収入の激減を防ぐためだとみられる。
(翻訳編集・張哲)
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