米国保健福祉省(HHS)は最近、パラオ保健省(MOH)と協議を行い、新型コロナウイルス感染症ワクチン投与に協力する医療支援隊を同太平洋島嶼国に派遣した。
2021年5月上旬に米国保健福祉省・外傷救急治療隊(TCCT)を率いるフィル・ニックス(Phil Nix)隊長は、「当隊は200人の臨床医師・看護師やその他の要員で構成される大規模な外傷救急治療隊に属する小規模な派遣団である」とし、「当隊の主な任務は公衆衛生上の緊急事態や自然災害に対応することである」と説明している。
2021年5月の時点でパラオは確認されている新型コロナウイルス感染症例が皆無という希少な国の1つである。今回の同隊の任務は前年従事した作業とは著しく異なる。
米国保健福祉省の外科医であるセシリー・ワン(Cecily Wang)は、「昨年は新型コロナウイルス感染症対策が限界に達した米国の前線地域に派遣されていた。これまでに対応してきた患者は感染症患者の中でも最も重症に陥っていてその多くは人工呼吸器を付けて生死の間際にいた」とし、「確認症例が皆無という異例のパラオの状態をそのまま維持したい。当隊が米国での任務で見てきたような惨状をパラオの住民が経験しなくて良いようにできるだけ多くの人々に予防接種を投与したいと考えている」と述べている。
また、ワン医師はパラオが将来的な健康上の緊急事態に備えることができるようにパラオ当局者に情報や知識を提供したとも説明している。
災害対策本部のガーファル・ウエルベラウ(Gaafar Uherbelau)現場副指揮官は、「2020年1月頃にパンデミックが発生した際、パラオでの感染症発生を防止するためにパラオ保健省は災害対策本部(EOC)を設立して入国審査を開始した」とし、「当国また、感染症の発生が疑われる地域からのすべてのフライトを停止した。こうしたフライトを一時停止することで当国へのウイルスの侵入を防止したのである。こうした措置を実施するには、すべての政府機関の全部署の協力が必要であった」と説明している。
ウエルベラウ副指揮官は、「ウイルス発生と地域社会での感染を防止するため当国は常に最も厳格な戦略を実施してきた。こうした規制により経済に甚大な影響が及ぼされたことは理解しているが、感染が発生して蔓延すれば経済問題が悪化するだけである」と述べている。
さらに、「米国とこうした良好な関係を育んできたパラオは実に恵まれている…米国の支援で当国人口の80%に予防接種を投与するという目標を達成することができる」と、同副指揮官は話している。
(Indo-Pacific Defence Forum)
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