台湾海峡の緊張が高まる中、中国政府は30億元(約507億円)を投じて、台湾に最も近い福建省平潭(ピンタン)県の主島である平潭島付近に海上空港を建設する計画を進めている。米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が19日に報じた。
それによると、平潭空港の建設予定地は同県の大沙嶼と小沙嶼の2つの島。建設エリアは、東は澳前鎮の東海岸まで、西は平潭島の環島東路までとなっている。現在、このエリアはほとんど海に覆われているが、将来的には埋め立てられ、海の上に空港が建つことになるという。
この空港の用途はまだ決まっていない。福州都市圏のハブ空港、台湾向けの空港、汎用航空基地として検討されている。
平潭県は、台湾海峡の最も狭い部分に位置し、台湾の新竹からわずか125キロのところにある。同県が所在する福建省は、台湾侵攻の最前線とされ、対台作戦のための空港や軍事基地、軍事配備が多くある。同空港も軍事目的に使用されるのではないかと懸念されている。
中国の習近平総書記は、福建省で地方幹部を17年間務めた経験があり、台湾との経済統合の重要性を繰り返し強調している。今年3月に福建省を再訪した習氏は、地元の関係者に「両岸の経済発展を統合する新しい道を大胆に模索する」よう求めた。
2009年に「平潭総合実験区」に格上げされた平潭県は、台湾との経済関係を深化させる目的で、2013年には中国の自由貿易試験区の一部となった。近年、中国当局は平潭周辺のインフラ整備に数千億元を投じており、2011〜15年だけでも、投資総額は2500億元に達している。2016年、福建省政府は、北京から平潭を経由し、海底トンネルで台北に向かう高速鉄道を建設する構想を打ち出した。
平潭総合実験区管理委員会の関係者が国営放送CCTVに語ったところによると、平潭では現在、国際観光島の建設、福建省と台湾との協力関係の強化、工業地帯、高級サービスエリア、住宅地の建設などが計画されており、新空港の建設が急務となっているという。
福建省政府が発表した交通建設実施計画によると、平潭のほか、同省の厦門、泉州、寧徳、武夷山、龍岩、漳州にも新空港が計画されている。
しかし、中国当局は台湾との経済統合を目指している一方、台湾への軍事的圧力で両岸関係の緊張を高めている。
中国軍東部戦区は17日、台湾の南西および南東の海空域で軍事演習を行った。演習には、戦闘機、対潜哨戒機、艦艇などが出動した。
(翻訳編集・王君宜)
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