米コンサルティング大手の最新調査によると、米中対立の激化で両国間の技術分野の投資は急減した。
ベイン・アンド・カンパニーは20日、最新年度調査報告書を発表した。それによれば、2016~20年まで、米中両国間の全体的な直接投資は620億ドル(約6兆7927億円)から160億ドル(約1兆7530億円)に減少した。この期間中、技術セクターでの投資は96%急減したという。
同社の米中投資センターの統計データでは、技術、不動産、医療関連セクターにおける二国間投資の落ち込みは最も激しい。
米中両国はそれぞれ国内で大規模な投資を行っている。
米上院は6月、2500億ドル(約27兆3906億円)規模の「米国イノベーション競争法案」を承認した。この法案では、国内の半導体研究・生産に520億ドル(約5兆6973億円)、全米科学財団に810億ドル(約8兆8746億円)の資金を拠出するなどと定められた。
いっぽう、報告書によると、中国当局のテクノロジー分野への年間研究開発費は2020年に3500億ドル(約38兆3469億円)を上回った。今後数年間、人工知能(AI)、半導体、次世代移動通信(5G)ネットワークなどに1兆4000億ドル(約153兆円)を投じる計画だという。
「両国の新たな動きから、デカップリング(切り離し)は将来数年間、テクノロジー分野における決定的な特徴となる」
同時に、米中のデカップリングや世界的な半導体不足に伴い、他の主要経済国は経済安全保障と国家安全保障の観点から、技術とサプライチェーンの独立性を強めるために、投資を拡大しているという。
韓国は5月、2030年までに世界最大の半導体チップ生産拠点となるために、4500億ドル(約49兆3031億円)の投資計画を発表した。欧州連合(EU)は3月、「デジタル主権(digital sovereignty)のために1500億ドル(約16兆4344億円)の投資を表明した。EUは同計画を通じて、30年までに世界の半導体生産に占める割合を20%に拡大することを目標としている。
ベイン・アンド・カンパニーは大紀元宛に送った声明の中で、この状況は「世界各国のハイテク企業に不確実性をもたらした」との見解を示した。
同社は、「世界中でデカップリングに備えた投資はかつてない規模とペースで行われている」として、テクノロジー分野の企業は「短期的および長期的な戦略」を常に見直し更新しなければならないと指摘した。
報告書は、「中国では多額の投資にも関わらず、主要な製造技術と重要な設備が不足しているため、国内の半導体製造を強化できない」との見方を示した。米国に関して、「最先端の半導体ファウンドリー、設計企業、部品メーカーへのアクセスはほとんどアジアに依存している」との課題を指摘した。
同社はまた、米国は中国に対抗するため同盟国との連携強化を図っているとした。「成功すれば、中国への重要技術輸出を制限または阻止することが容易になる」が、EUが米主導の中国対抗同盟に参加するかは不明瞭だという。
日本経済新聞は19日、今月24日に開催予定の日本、米国、オーストラリア、インド4カ国首脳会議の経済安全保障に関する共同文書の原案を引用し、4カ国は今後半導体など戦略物資のサプライチェーン構築で協力する計画だと報じた。
(翻訳編集・張哲)
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