中国高官から性的関係を強要されたと告発し、消息が不明になった彭帥選手が21日、北京で開催されたテニスイベントに姿を見せた。イベント主催側や官製メディアの幹部が彭選手の写真や動画を公表した。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も同日、彭選手とビデオ通話を行い、無事で健康に北京の自宅で暮らしていると説明があったという。
フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は21日、彭選手が姿を現しても、彼女の身の安全を証明するには「十分ではない」とし、「より多くの証拠を提供するよう」中国当局に呼びかけた。
「私が期待することは一つだけ、それは彼女自身が話すことだ」「もし彼女にそれが許されないのであれば、我々は(中国当局に対して)何らかの外交的な影響を与えざるを得ない」と同外相は仏メディアLCIに語った。
女子テニス協会(WTA)も動画の公開は彭選手の安否への懸念を払拭するのに「不十分」だとした。
WTAのスティーブ・サイモン最高経営責任(CEO)は、「彭氏の中国出国を許可するか、あるいは他者がいない環境で自分と直接ビデオ通話するか」を求めた。
高まる北京五輪ボイコットの動き
当局は20日にも友人との食事会の動画を公開した。積極的に彭選手の情報を公開するようになったのは、来年の北京冬季五輪に外交的ボイコットをする動きが高まっているためだとみられる。
米バイデン政権は、中国の人権侵害を理由に政府関係者の派遣を見送る「外交的ボイコット」を示唆している。
米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの5カ国から構成され、政治的、軍事的な情報を共有する同盟、ファイブアイズも21日、北京五輪のボイコットを検討していると報じられた。
「反体制派のスポーツ選手への迫害」を含む中国の人権侵害を理由にあげており、女子テニス選手についても問題視しているとみられる。
(翻訳編集・李凌)
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