<統合抑止>米国海兵隊と自衛隊が日本最大規模の二国間実動訓練を完了

2022/01/04 更新: 2022/01/04

米国海兵隊陸上自衛隊(JGSDF)が実施していた日本史上最大規模の二国間実動訓練「レゾリュート・ドラゴン21」演習が2021年12月17日に終了した。 米国海兵隊の第3海兵師団と第3海兵遠征軍(3MEF)および陸自の東北方面隊・第9師団の4,000人超の兵士・隊員が、「機動展開前進基地作戦(EABO)」を踏まえた戦術、技術、手順の訓練に従事した。

2,900キロ超にわたる日本列島全域で機動展開前進基地作戦を組み込んで実施された統合作戦においては、航空自衛隊、米国空軍、米国陸軍、米国海軍、米国宇宙軍の数百人の兵士・隊員等も支援を提供している。 

陸自第9師団の幕僚長を務める黒羽明1等陸佐は、「当訓練は戦術技巧の相互向上を目的として能力、装備、戦闘方法の相互理解を深化することが日米間の相互運用性を改善する上で非常に重要である」と述べている。 

雨氷と降雪の中、大部分が紛争環境での対抗方式の実弾射撃訓練を想定して設定されている演習場で、米国海兵隊兵士と自衛隊隊員は小規模な部隊展開して複数の主要地点に攻撃拠点を確保するために空域や地上に必要機能を配備する訓練に取り組んだ。 部隊は機動展開前進基地作戦の基本に従い、海上標的に対する模擬攻撃の同期に必須となる二国間地上戦術調整所(BGTCC)などの機能を急速に構築した。

二国間地上戦術調整所では、センサーネットワークの相互運用性、地上における二国間の精密射撃、米国海兵隊と空自の航空機、海上の「ラルフ・ジョンソン(USS Ralph Johnson)」ミサイル駆逐艦を活用するという手段でマルチドメイン作戦の調整を行う。 

第4海兵師団の火力支援調整将校(FSCO)であるベン・リーディング(Ben Reading)少佐は、「レゾリュート・ドラゴン演習では米軍と自衛隊が一丸となって計画策定、標的データの共有、標的攻撃に使用する兵器・機器の選択、実際の攻撃を実施する」とし、「二国間地上戦術調整所はこうした活動を行うために軍が同盟国と集まる場所としての役割を果たす」と説明している。 

同じ頃、約320キロ離れた地点では、米国海兵隊と自衛隊が二国間射撃指揮所と長距離精密射撃機能を構築している。これにより、海上標的に対する模擬攻撃の実行が可能となるだけでなく、陸自の地対艦ミサイル(SSM)システムと米国海兵隊の高機動ロケット砲システム(HIMARS)を使用した対艦作戦を支援できる。 

今回の演習において米軍の機動展開前進基地作戦を指揮した野戦砲兵将校のジェイコブ・アモン(Jacob Amon)大尉は、「相互に多くの事柄を学び合い、この戦闘で独特な能力を開発することで場所や時間を問わずに標的を攻撃できる戦闘力を強化することができる」とし、「陸自隊員は専門性が高く、知識も豊富で、自身の任務を非常に忠実に果たす能力を備えている」と話している。 

レゾリュート・ドラゴン21演習は包括的なマルチドメイン海上攻撃演習で大詰めを迎えた。同訓練では、海上標的に対してリアルタイムで模擬射撃任務を実行する統合「キルウェブ(Kill Web)」(攻撃されやすい情報ノードを最小化し厳しい競合環境下で効果的な状況を維持するために連接すること)の一端として、地対艦ミサイルと高機動ロケット砲システムの配備に成功した。米軍と自衛隊が装備する陸・空・海ベースのセンサー機能により戦域の認識能力が拡張され、海上で標的を確認できるデータが得られる。こうしたデータが二国間地上戦術調整所で処理され、海上拒否による抑止を支えるために領域全体で運用・配備されている資産との射撃任務が調整される仕組みである。 

第4海兵師団の司令官を務めるマシュー・トレーシー(Matthew Tracy)大佐は、「米軍と自衛隊は強力に連携することができる。これにより、その種類を問わずあらゆる戦闘において全領域で統合して作戦を実行することで、日本が主権を有する全領土の防衛を確保し地域の平和と安全を脅かす脅威を打ち負かすことができる」とし、「60年以上にわたり、日米はインド太平洋地域全域の平和と安全の礎として手を携えてきた」と述べている。   

Indo-Pacific Defence Forum