[ワシントン/リビウ(ウクライナ) 9日 ロイター] – ロシアは、ウクライナの首都キエフを含む5都市から一般市民が避難できるよう、9日に人道回廊を提供する用意があると表明した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアによるウクライナ侵攻開始以降、200万人を超える人がウクライナから国外に逃れている。
タス通信によると、ロシア国家防衛管理センターのミハイル・ミジンツェフ所長は、キエフ、チェルニヒウ、スムイ、ハリコフ、マリウポリからの退避を望む市民が安全に移動できるよう、ロシア軍はモスクワ時間午前10時(日本時間午後4時)から「沈黙の体制を順守する」と述べた。
提案されたルートがロシアまたはベラルーシを通過するかどうかは不明。こうした条件はウクライナ政府がこれまで反対している。
スムイでは8日、ロシアの侵攻以来初めて成功裏に開設された「人道回廊」により、市民が退避。また、ウクライナはロシア軍が南部マリウポリからの別の退避ルートを砲撃したと非難した。ロシア側は民間人への攻撃を否定している。
バイデン米大統領は、ロシア産の原油や天然ガス、石炭の輸入を禁止すると表明。「米国民はプーチン大統領の戦争マシンに対し新たな力強い打撃を与える」と述べた。ロシアが2月24日に侵攻して以来、原油価格は30%以上急騰している。
ソビエト連邦の崩壊を受けてロシアにオープンした資本主義の象徴であるマクドナルド、および米コーヒーチェーン大手スターバックスが一時的にロシアの店舗を閉鎖する。また、米飲料大手のコカ・コーラとペプシコはロシアで飲料販売を停止すると発表した。
紛争とそれに伴う制裁は、世界のサプライチェーン(供給網)に大混乱をもたらし、食料やエネルギーだけでなく、アルミニウムやニッケルなどの主要原材料の価格も高騰させている。
ロンドン金属取引所(LME)のニッケルが8日の取引で一時111%上昇し、過去最高値の1トン=10万1365ドルを付けた。ウクライナ情勢の緊迫化と対ロシア制裁で供給不安が広がっている。LMEは、取引停止という異例の措置に踏み切った。
英国のジョンソン首相は、ロシアからの原油と石油製品の輸入を段階的に削減し、2022年末までに完全に停止すると発表。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、ロシア産天然ガスの依存度を年内に約6割低下させ、「2030年よりかなり前に」 依存をゼロにする計画を発表した。
<ポーランドの戦闘機供与案>
米国は8日、ウクライナの空軍力を強化する一環として、自国軍の戦闘機を在ドイツ米軍基地に移す用意があるとしたポーランドの提案を拒否した。
ポーランドは、自国が保有するロシア製戦闘機「ミグ29」を在ドイツのラムシュタイン米空軍基地に配備し、米国の管理下に置く用意があると表明。同型機を保有する他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国にも同様の対応を求めていた。
これに対し米国防総省は、NATO加盟国から紛争地域に戦闘機を飛ばすのは「NATO同盟全体に重大な懸念をもたらす」と指摘した。
また、ウクライナ軍情報当局は、ロシア第41軍第1副司令官ヴィタリー・ゲラシモフ少将を7日にハリコフ付近で殺害したと発表。ロシアのウクライナ侵攻でロシア軍の上級司令官が死亡したのは2人目。
ロシア国防省のコメントは取れていない。ロイターは発表内容の信ぴょう性を確認できていない。
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