外国為替市場で円相場が1ドル=135円前半を記録するなか、日本銀行の黒田総裁は13日、最近の急速な円安の進行は先行きの不確実性を高め、経済にマイナスであり、「望ましくない」と発言した。参議院決算委員会での答弁。
13日の外国為替市場ではドルに対して円安が進み、1ドル=135円前半を記録した。1998年10月以来、約24年ぶりの円安水準となった。米国での記録的なインフレを受けて連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続する見方が強まり、日米間の金利差からドルを買う動きが進んだ。
黒田総裁は「為替相場は経済金融のファンダメンタルに沿って安定的に推移することが重要」であると指摘。その上で「最近の急速な円安の進行は先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど、経済にマイナスであり、望ましくないと考えている」と述べた。
いっぽう、賃金上昇のためには「金融緩和を粘り強く続けることで経済をしっかりとサポートしていく必要がある」と強調した。円安の動きは今年3月初旬頃から見られ、約3カ月で20円ほど円売りが進んだ。
松野官房長官は13日午前の記者会見で「急速な円安を憂慮している。日本銀行と緊密に連携しつつ、為替市場の動向や経済物価市場への影響を緊張感を持って注視していく」と述べた。
財務省と金融庁、日本銀行は10日、国際金融市場に関する3者会合を開き、円安対応などを協議した。会合後の声明文では「必要な場合には適切な対応を取る」と述べた。
米財務省が10日公表した半年に一度の「外国為替政策報告書」では急速な円安に触れ「為替介入は事前に適切な協議をしたうえで、極めて例外的な状況のみ」で認められるという従来の表現にとどめた。これに対し松野官房長官は、近年の報告書の表現を踏襲したものであり、新たな見解が示されたわけではないと述べた。
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