米国のポンペオ前国務長官は4日、中国の台湾侵攻への対応を明確にしない米国の「戦略的曖昧さ」を放棄すべきとの見解を示した。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、中国を抑止するために台湾防衛の意思を明確化すべきだと強調した。
ポンペオ氏は、英国の保守系シンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ」のシンポジウムで曖昧な政策は「覇権主義国により多くの機会を与え、民主主義国には対処に必要な時間を失う」と指摘。さらに、習近平氏はこれを理解していると付け加えた。
さらに、台湾問題は単一の問題ではないと指摘。中国共産党によるソロモン諸やフィリピン、日本などの周辺国への挑発行為は、複雑な地政学的・戦略的問題を反映していると述べた。
米国は1979年に定めた台湾関係法に基づき、台湾に自衛手段を提供することが義務付けられているが、台湾有事に際しての対応については明確にしない「戦略的曖昧さ」と呼ばれる政策を維持している。
ポンペオ氏は、台湾統一をにらむ中国共産党が情報戦など明確な武力攻撃でない手法で台湾を占領することが「最大の懸念」だとも述べた。香港を例に挙げ「中国共産党のプロパガンダや治安部隊の制圧」などにより、台湾の主権が弱体化する可能性があると危惧した。
バイデン米大統領は5月に訪日した際、中国が台湾へ武力行使した場合、米国が軍事関与する可能性を示唆した。いっぽう、ホワイトハウスの当局者は発言について、台湾の自衛を支援する従来の姿勢と変わりはないと釈明した。
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