米国のナンシー・ペロシ下院議長が2日夜、台湾に到着して以降、台湾の公的機関を標的とするサイバー攻撃が多発している。中国の報復措置とみられる。いっぽう、この影響で通信障害が起きたシステムでは、中国製通信機器やソフトウェアが使われていることがわかった。
台湾政府のウェブサイトや高速鉄道の駅、空港、一部のコンビニエンスストアのネットワークが標的にされた。
高雄市新左営駅の電子掲示板には3日、大陸で使用している簡体字で、ペロシ氏の訪台を非難する文言が表示された。南投県竹山町役場やコンビニ大手のセブンイレブンでは、電光掲示板に「ペロシ、台湾から出ていけ」と表示された。
中国通信機器大手ファーウェイ製の電子設備を使用している高速鉄道の南港駅(台北市)の駐車場システムも通信障害が発生した。
台湾の通信当局、国家通訊伝播委員会(NCC)の陳耀祥・主任委員は3日の記者会見で、「現時点の調査では、広告媒体システムが中国製のソフトウェアを使ったことが原因だとわかった」と述べた。
外務省や台湾電力などのウェブサイトもシステム障害が起き、一時閲覧ができなくなった。外務省の欧江安報道官は4日、ペロシ氏が台湾に到着した2日以降、攻撃に使われているIPアドレスの大半は「中国とロシア」だと明らかにした。
行政院(内閣に相当)によると、公的機関に対するサイバー攻撃は3日の一日だけで490万回に達し、過去2カ月間の総数を上回っている。
中国のハッカーグループ「APT27」は3日、YouTube上で動画を投稿し、ペロシ下院議長の台湾訪問に抗議して「サイバー特別行動」を展開するとの声明を出した。
独メディア「ドイチェベレ」によると、APT27はすでに台湾のインターネット接続設備6万個を閉じたと発表した。
欧米では、APT27は中国政府が支援するハッカー集団だと認識されている。今年1月、同グループがドイツの製薬やIT企業を狙い大規模なサイバー攻撃を行った。
台湾SNS上では、ファーウェイなど中国製通信設備のセキュリティ問題が再び話題となった。ネットユーザーは「ペロシ氏来訪のおかげで、この問題が裏付けられた」と使用の見直しを求めた。
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