「10月1日」は祝うべき日か?【現代中国キーワード】

2022/09/06 更新: 2022/09/17

毎年10月1日の「国慶節」は中国共産党がつくった政治用語である。

旧正月の「春節」も中共が定めた名称である。もともと中国にそのような節句はなく、ただ元旦(ユァンダン)と呼んでいた。なぜか日本の報道でも春節と呼んでいるが、今後(ウクライナのキエフをキーウと改めたように)修正の必要があるかもしれない。

1949年9月21日の第1回中国人民政治協商会議において、それまでの旧暦および中華民国年号をやめて新暦を用いるよう定められた。さらに、首都の北平を「北京」に改め、毎年10月1日を国慶節とし、毛沢東を国家主席に選出した。

その10日後。天安門の楼上から、毛沢東によって「中華人民共和国」の成立が宣言されたのだが、そもそもこの「10月1日」は、祝うべき日なのか?

中国共産党を認めない人々は、この日を「国殤日」と呼ぶ。
「国殤(こくしょう)」とは、古代中国の憂国詩人である屈原(くつげん)の『楚辞』の一遍で、祖国のために命を捧げた勇士を殤(悼)む内容である。

ところで毎年この日、天安門広場の式典に不可解なものが出現する。台湾で「国父」として尊敬される孫文の肖像画だ。

もちろん、大陸の中国人が孫文を好むことは、一向にかまわない。
ただ、田所竹彦著『孫文 百年先を見た男』によると、中共は、孫文を北京に飾ることで「本家はこちらだよ。台湾は早く帰ってきなさい」と呼びかけているという。
嫌なやり方と言うしかない。