東京都議会で15日、新築戸建て住宅への太陽光パネルの設置を義務化する条例が全国で初めて成立した。設置には施主負担増加や災害リスクなどの課題が残る。こうしたなか、神奈川県川崎市でも同様の条例制定を検討しており、川崎市民は見直しを求める誓願書を同日、市に提出した。
30年まで温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」を目指す小池百合子都知事は、12月の定例会で、太陽光パネルの設置を義務づける環境確保条例改正案を提出。15日の本会議では、都議会最大会派の自民党が説明不足で都民の理解は得られていないとして反対したが、都民ファースト、公明党など他の会派の賛成多数で可決・成立した。
設置の義務付けは住宅の施主ではなく、都内に50社程度ある大手住宅メーカーとなる。都は設置支援や気候変動に関する周知のため、補正予算に300億円を計上した。
義務化反対に声を上げる上田令子氏が同日ツイッターで実施したアンケートでは、94%が設置義務化に反対を示した。5000あまりのユーザーが解答した。「人生一大決心のマイホーム購入に、なぜ設置の義務化が行われるのか」「廃棄や災害時の事故の責任は都知事や議員は取れるのか」といった批判的なコメントが相次いだ。
義務化に懸念を示す有識者らは6日の記者会見で、電気利用者間の格差拡大や中国への依存度を高める結果になるなど、複数のリスクを提示した。
義務化については、川崎市でも導入を検討している。川崎市の条例ではのべ床面積2000平方メートル以上の事業所、住宅などを新築・増築する際、2024年度以降に段階的に実施する方針という。いっぽう、義務化にあたり市には負担増加など不安の声が届いていると、市担当者が議会で明らかにした。
有志の市民は同日、三宅隆介市議会議員の紹介を経て、太陽光設備義務化の見直しを求める請願書を提出した。三宅氏は以前、太陽光パネルなどは電力買取制度(FIT)による国民負担増、20%という発電効率の低さ、さらには寿命20年を迎えた時期のパネル廃棄と有害物質の流出を並べ、問題を喚起している。
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