中国では「体中の臓器を取り替えた」という元高官の死をきっかけに、再び臓器収奪問題の懸念が強まっている。臓器移植によって免疫力の低下した人が新型コロナウイルスに感染すれば致命的となりうる。相次ぐ中国高官の死亡と臓器収奪との関係は否定できないと、中国評論家の秦鵬氏は指摘する。
昨年末、中国文化部常務副部長(副大臣)などの要職を歴任した作家の高占祥(コウ・センショウ)氏が死去した。「中国民主促進会」の中央委員会副主席である朱永新(シュ・エイシン)氏は高氏への追悼文の中で、「高氏は長年にわたって病魔と闘ってきた、体中の臓器を移植している。『身体の多くの部品は自分のものではない』と彼自身も冗談を言っていた」と明かした。
「高氏が交換した身体の『部品』はどこから来たのか」ー-追悼文の一節はネット上で波紋を広げた。臓器の出所を追及する声が高まる中、追悼文は削除された。
中国の政治・経済に詳しい評論家の秦鵬氏は、中国共産党の高官たちが長生きできるのは、その多くが臓器移植を受けているからだと指摘する。こうした高官は移植臓器のために免疫抑制剤による治療が一生必要となる。
広く知られているように、新型コロナウイルスに対する特効薬はなく、人体が持つ「免疫力」が頼りとなる。いっぽう臓器移植を受けた中国高官らは「人体の免疫システムは低下しているため、感染したら非常に危険だ」と秦鵬氏は述べた。
中国ネットユーザーからも、相次ぐ中国高官の死亡と臓器収奪との関係を指摘する声は少なくない。
「臓器の出所はどこ?結局は国民から来ている。だから失踪者が見つからないのか」
「行方不明者がどこに行ったのか、やっと分かった。みんな共産党幹部の体の中に入ったんだ」
「元文化部副部長でさえ身体中の臓器を入れ替えているのだから、その上の高官となると、どれほど入れ替えたのか」
「中共の高官は、生き延びるために、他人の命を奪う」
サプライチェーンと化した臓器バンク
中国の臓器移植センター「天津市第一中心医院」の実態に迫った2017年の韓国のドキュメンタリー番組「中国渡航移植の闇:生きるための殺害」は、臓器狩り問題にかなり切り込んだ作品だ。
韓国最大の新聞社「朝鮮日報」傘下のテレビ局「TV朝鮮」が制作したもので、取材チームは、ドローンや超小型カメラを駆使して、天津市第一中心医院内で潜入取材を敢行した。韓国国籍の患者が中国で臓器移植を受ける過程や、中国で臓器移植を受けた患者や移植外科医への取材記録が明らかになった。
それによれば、2000年以降に中国で臓器移植を受けた韓国人は約2万人に上り、臓器ドナーのほとんどが中国の「良心の囚人」、特に法輪功学習者だという。
また、重慶市の元副市長で公安局長の王立軍らが発明した「脳死マシーン」についても調査が行われ、中国共産党による強制臓器摘出の犯罪が暴かれた。
「脳死マシーン」と呼ばれる機械は、実験台となる人体の頭部に金属球を強く打撃させ、頭蓋骨を経由して伝わった振動によって脳幹の機能を停止させる。そして、人は瞬時に脳死状態に陥る。実験には死体を使用しているようだが、真実は明らかではない。
中国人は党にとっての資源庫
近頃、中国では大学生や高校生といった学生が行方不明になるできごとが多発している。これまで、中国共産党による強制臓器摘出(臓器狩り)の対象は主に良心の囚人だったが、今では行方不明となった学生も対象になっているのではないか、との疑惑も深まっている。
カナダの公立大学で中医学を教えるジョナサン・リュウ教授は今月6日、ラジオ放送「希望の声」に対し、「中国共産党の特権は『臓器福祉』だ。これは江沢民が始めたもので、江沢民の長男である江綿恒はガンで臓器を5回も取り替えたと言われている」と指摘した。
カナダ在住の中国民主活動家、盛雪氏も「中国人はまさに中国共産党にとっての資源庫だ」と指摘する。中国人の臓器はサプライチェーンと化しており、共産党は国民の臓器を自らの臓器移植で享受するだけでなく、国際社会で影響力のある人物を取り込むためにも利用できるという。
「中国共産党は臓器ビジネスを通じて、金銭と利益、そして国際社会での発言力や影響力をも高められる」
最近では、「搾取されるために生まれてきた」と自嘲するネットユーザーが作った言葉「人鉱」も中国当局の検閲に遭っている。「人鉱」のワードの背景には、中国各地で相次ぐ学生らの行方不明や「臓器狩り」問題などがある。
中国当局は、自分の命や財産、臓器など持っているものすべて中国共産党という暴力的な略奪集団にとっての「人鉱」であるという真実が、国民に知られるのを恐れている、と盛氏は指摘する。
「国民は自分の一生が中国共産党の役人や利権階級にモノ扱いされているということに気づけば、中国共産党を打倒することを決意するだろう」
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