韓国検察は26日、韓国企業の半導体関連の先端技術を中国に流出させたとして、産業保護法および不正競争防止法違反で、韓国のサムスン電子の子会社など大手企業と中堅企業の現職・元研究員3人を含む計6人を起訴したと発表した。複数の韓国メディアが報じた。
被告人らは、コンピューターと業務用携帯電話で会社の内部ネットワークを接続し、機密資料を閲覧し、携帯電話で撮影をして流出させた。流出したデータには、「超臨界半導体洗浄装置」を含む半導体ウエハー研磨関連技術や企業秘密が多数含まれていたという。
元研究員Aは2016年にサムスン電子の子会社で、韓国最大の半導体製造装置メーカーのセムスを退社し、19年に中国企業と半導体ウエハー研磨剤製造事業を設立。その後、Aは19年9月から他社の元研究員3人を中国企業にそれぞれ副社長、課長、社員として転職させ、自身も20年5月に社長級で転職していた。
「超臨界半導体洗浄装置」は、超臨界状態(気体と液体の中間の状態)の二酸化炭素を用いて半導体基板の損傷を最小限に抑え、半導体ウエハーをドライ洗浄する装置だ。セムスによって世界で初めて開発され、21年に韓国の産業通商資源部が「国家核心技術」に指定した。
韓国メディアによると、被害企業の中で規模が最も小さい会社の場合で、今回の技術流出による経済的損失は1000億ウォン(約105億円)以上と試算している。
10か月かけて捜査
韓国特許庁技術デザイン特別司法警察(技術警察)と大田地方検察庁は昨年3月、国家情報院から情報提供を受けて捜査に着手。中国企業に転職した元社員が韓国に帰国した際、押収捜索を執行して証拠を確保した後、昨年11月に検察に送致した。
韓国の半導体技術流出は国内外で懸念事項となっている。
韓国系ウェブメディア「KOREA WAVE」を運営するマネートゥデー ジャパンによると、韓国最高検察庁の産業技術海外流出摘発件数は17年から昨年9月までの5年間で112件、国家重点技術36件が流出、ディスプレイ・半導体部門だけで50件に達する。昨年もサムスン電子DS(半導体)部門の職員が半導体重点技術を流して摘発され、また別の職員はインテルに技術流出を試みて検挙されているという。
19年、日本政府は韓国の輸出管理制度が不十分であるとして、輸出管理で優遇措置を与えていた「ホワイト国」(グループA)指定から除外するとともに、韓国への半導体材料3品目の輸出について包括許可から個別許可に切り替えるとし、輸出管理を強化した。
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