[北京 5日 ロイター] – 中国の第14期全国人民代表大会(全人代)が5日、北京の人民大会堂で開幕した。李克強首相は政府活動報告で、2023年の経済成長率の目標を5%前後とし、昨年の目標(5.5%前後)より低く設定した。
昨年の中国の成長率は3%だった。
23年の財政赤字目標は対国内総生産(GDP)比で3.0%とした。昨年の目標は2.8%前後。
消費者物価指数(CPI)上昇率の目標は3%前後に設定、22年の目標と同水準とした。CPIは昨年は2.0%上昇した。
李首相は政府活動報告で、経済の安定と消費拡大の必要性を強調。都市部では今年、約1200万人の雇用を創出するとし、昨年の目標である少なくとも1100万人を上回る目標を掲げた。不動産部門にリスクが残っているとも警告した。
「消費の回復と拡大に優先的に取り組むべきだ」としたほか「都市と農村の住民の所得は、複数のチャンネルを通じて向上させる必要がある。高額品への支出を安定化させ、消費者向けサービスの消費回復を促進しなければならない」と述べた。
複数の関係筋は全人代に先立ちロイターに対して、今年の成長率目標は5─5.5%になるとしており、一部は最大6%の可能性もあると述べていた。実際の目標は予想レンジの下限となった。
国泰君安国際のエコノミスト、周浩氏は「成長目標は2年連続で引き下げられ、市場に失望を与えるかもしれないが、回復のペースを測るには投資家は基調的な成長の勢いに注意を払うべきだ」と述べた。
<国防費7.2%増>
中国政府は2023年予算案を公表し、前年比7.2%増となる1兆5500億元(約2240億ドル)の国防費を計上した。昨年の増加率を若干上回った。
国防費の前年比増加率は成長率目標を上回ることになる。
国防費は8年連続で1桁台の増加率となった。例年通り内訳は明らかにせず、全体の金額と増加率のみ公表した。
李首相は、軍事作戦と能力開発、戦闘準備は「主要な任務を遂行する上でうまく調整されるべきだ」と強調。「27年の人民解放軍100周年に向けた目標に焦点を当て、軍事作戦の実施、戦闘準備の強化、軍事能力の増強に取り組むべき」などと述べた。
<台湾と「平和的統一」>
李首相は政府活動報告で、台湾との関係の平和的な発展を促進し、中国の「平和的統一」のプロセスを進めるべきとする一方、台湾独立の動きに対しては断固とした措置を取って反対していく姿勢を改めて示した。
中国はここ3年ほどの間に台湾周辺で軍事活動を活発化させており、昨年8月にはペロシ米下院議長(当時)の訪台に反発し軍事演習を実施している。
李首相は「一つの中国」の原則堅持を強調。
政府は「台湾問題の解決」に向けたわが党の方針を実行するとともに、「台湾の独立に反対し、統一を促進するための断固とした措置を取る」べきとした上で、「両岸関係の平和的発展を促進し、中国の平和的統一のプロセスを進めるべきだ」と語った。
<少子化など多くの課題>
中国は他にも、対米関係の冷え込みや人口動態の悪化など、多くの課題に直面している。出生率が急落し、昨年は1961年の飢饉の年以来、初の人口減に見舞われた。
国家発展改革委員会は活動報告で、中国は出産、育児、教育のコストを引き下げ、高齢化と少子化に積極的に対応する計画だとした。
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