国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会メンバーは4日、東京で記者会見し、ジャニーズ事務所創業者による性的虐待の告発に対する対応は不十分であり、「事務所が設立した第三者調査チームの透明性と正当性について疑念が残る」と批判した。
日本国内のビジネスに関わる広範な人権問題を調査するため、作業部会は7月24日から8月4日まで日本を公式訪問している。訪日期間中、ジャニー喜多川氏による未成年を含む性加害問題について調査し、ジャニーズ事務所の元所属タレントと面談した。誰に会ったかなど具体名は明らかにしなかった。
性的虐待の告発について、作業部会メンバーのピチャモン・イェオファントン氏は「数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという深く憂慮すべき疑惑が明るみになった」と記者会見で述べ、政府が積極的な調査を行うよう求めた。
また「日本のメディアが数十年にもわたり不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」と報道機関の責任にも言及した。加えて、エンターテイメント業界のみならず、日本の全企業が人権デューデリジェンス(企業の倫理責任)を強化し、虐待問題に対処するよう強く促した。
作業部会は来年6月、最終報告書を国連理事会に提出する予定。
ジャニーズ事務所は同日、創業者による性加害問題について声明を発表し、同所が設けた外部専門家による再発防止特別チームの調査報告は、8月末ごろ公表する見通しであることを明らかにした。
性加害問題を訴える元所属タレントからなる被害者グループもこの日、記者会見を開いた。
二本樹顕理氏は、事務所が委託した調査チームと国連の専門家の両方からインタビューを受けたことを明らかにし、双方の対応の違いを指摘した。
事務所の特別チームの目的は再発防止であり、被害者の救済ではないと批判。いっぽう、作業部会では被害者側の心に寄り添うものだったと語った。
喜多川氏による性加害問題は、被害を訴える年齢層が幅広いことから、80年代まで遡るといわれる。
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