記録的な豪雨に見舞われた中国北部の北京市や天津市などでは水害が発生し、河北省ではダム放水による二次災害が広い範囲にわたって発生している。いっぽう、政府系メディア「中国中央テレビ(CCTV)」が報道に際し放水ではなく「冠水」と表現したことに被災した民衆らが反発、「歪曲報道」であるとの声が上がっている。
7月下旬から水害の被害は甚大だ。河北省涿州市では「事前通告なし」のダム放水により、住民が避難できず取り残される事態となった。事前通告が行われた天津市東淀地域では住民が避難行動を取ることができたものの、収穫期を迎えた農作物や大量の家畜が洪水に飲み込まれた。
こうした中、ダム放水を「冠水」と表現した政府系メディア「中国中央テレビ(CCTV)」の報道に批判が集まった。河北省霸州市での災害状況について言及する際に、「一部の村落では豪雨の影響により冠水が発生した」との報道に対し「原因はダム放水であり、豪雨ではない」「人災だ」との投稿が寄せられた。
被災地の現状を知る地元住民らは「政府系メディアが事実を歪曲した報道をしている」と相次いで指摘。「ニュースでは『被災したのは4つの村』と言っていたが、実際は47の村だ」「我々覇州の人々が納得のいく説明をすべきだ」と批判的なコメントが相次いだ。
北京市中心部(区部)を守るために行われたダム放水については、「人災」との指摘もある。
災害救助活動を美化する報道内容に対して、政府系メディアのプロパガンダを鵜呑みせず事実を確認すべきとの投稿も見られた。
ある男性は自撮り動画のなかで、「涿州(河北省)では今でも多くの人々が避難できずに立ち往生している」とし、「新聞報道を信じないほうがいい。政府は何も助けてくれない」と訴えた。
さらに「災害の実態が外部に漏れないよう、当局はスマートフォンの電波遮断を広い範囲で行っているようだ」と呼びかけた。
政府系メディアは一連の水害による犠牲者は20人と発表したが、民衆は疑いの目を向けている。北京市北西部の門頭溝区で救援活動に携わるボランティアスタッフは「我われの救援チームだけで、これまでに200体以上の遺体を発見した。うち3人は子どもで、最年少は4歳だった」とSNSに投稿し、波紋を呼んだ。
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