肉料理が16円「激安なのに豪勢」 中国政府の食堂事情がネットで話題に

2023/09/27 更新: 2023/09/27

この頃、中国当局が強行に後押ししているのが「栄養が乏しく、過度な添加物が入っている調理済み食品(加工食品)」の学校給食への導入である。これについて、子供の保護者をはじめとする国民の反発が高まっている。

いっぽう、中国の中央政府および一部の地方政府の食堂は、出てくる料理が「ものすごく安いのに、ものすごく豪勢。一体なぜ?」として話題になっている。

値段を見れば「ここは40年前の中国」か?

まさに「天地の差がある」と言っても過言ではない。

学校の生徒や学生が口にする「添加物だらけで、不健康な加工食品の料理」と、政府食堂の「安くて豪華な、ご馳走」が、あまりにも鮮烈な対比を成しており、ひいてはその格差が不可解であることから、国民の不満や不信感に一層火をつけることになった。

このほど、中国の政府食堂の内部を映したという複数の画像が、SNS上に拡散された。画像からわかることは、この食堂のメニューは非常に充実していること。そして、料理が新鮮な食材で作られているうえ、価格が「とんでもなく安い」ことだ。

例えば、おかずは「肉メイン」か「野菜メイン」かで分かれるが、価格はすべて一律である。肉のおかずは1皿0.8元(約16円)、野菜のおかずは、1皿0.2元(約4円)だ。このほか、お粥、マントウ(饅頭)、ゆで卵などの主食や副菜も0.2元(約4円)ほどである。

料理の値段だけを見ると、まるで「40年前の中国」のような錯覚を起こす。40年前といえば(現代とはレートの違いはあるものの)1元で、主食とおかずの食事ができた。今では、1回の外食で少なくとも30~50元はかかるだろう。

そうしたことから、関連投稿をめぐって「政府食堂の食事が、学生に食べさせている調理済み食品より安くて豪華だなんて、許せない!」といった非難が殺到している。

おそらく、ある大学の学生食堂の料理から「ネズミの頭」が出てきたことも、非難コメントを寄せるネットユーザーの記憶に浮かんだことだろう。

政府食堂の食材は「特別供給品」

上海の政府機関で働く友人に連れられて、政府オフィスの食堂で食事をしたことがある、という李さんはNTD新唐人テレビの取材に対して「政府食堂の食材は特別供給品だ」と明かした。

「官製食堂の食事は、確かに一般食堂のそれとは全く違う。政府食堂の食事は健康的で豪勢。しかも、とにかく安い」と語る李さん。

李さんが最も印象に残ったのは、政府食堂の「リンゴ」だという。

「そこのリンゴを1つ食べてみたら、甘くて、とにかくおいしかった。自分の子供にも食べさせたいと思って、どこへ行ったらこのような良いリンゴを買えるのかと友人に訪ねてみた。すると、友人から返ってきた答えは、これは有機栽培の特別なリンゴだから一般の人には買えない、だった」

李さんは、複雑な表情でそう振り返る。庶民が買えるリンゴは、農薬の危険と隣り合わせだ。

「国家機密漏えい罪」で拘束された

政府の食堂に限らず、政府機関傘下の「幼稚園の食事」も非常に豪勢で、一流ホテルのレストランのように「高級」であることも話題になっている。

このほど、政府官僚の児童が通う幼稚園「浙江台州市椒江区機関幼児園」の食堂の風景を映した動画がネットに流出。一般の国民は、その動画に映る風景をみて、あまりの格差に驚くとともに、一層反感を募らせている。

(政府機関傘下の幼稚園「浙江台州市椒江区機関幼児園」の食堂の風景。まるで一流ホテルのレストランのようだ)

これに先立ち、2年前の2021年3月、コロナ禍のなか武漢がロックダウンされて大変な折、上海市黄浦区の政府食堂の食事メニューの動画が、ネット上に拡散されたことがある。もちろん、こちらの政府食堂も品ぞろえが良く、しかも安い。

動画の撮影者は、後に「国家機密を漏らした罪」で刑事拘束されたことが、当時のエポックタイムズの取材でわかっている。中国の政府食堂のメニューは、重要な「国家機密」であるらしい。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
関連特集: 中国