訪日旅行者数が新型コロナ流行前に回復する昨今、日本では問題行動を起こす、いわゆる外国人の“迷惑系ユーチューバー”の存在が目立ち始めた。新幹線の運賃を踏み倒したり、無銭飲食をするなどして、日本の公共秩序に対する新たな懸念材料となっている。
混み合う東京・新宿駅の構内で、車掌の視線を避けトイレに隠れるユーチューバー。知人らと共に無賃乗車を続けて日本を移動するといった企画動画を公開し、広告料を稼いでいた。
このユーチューバーはキプロス出身で、現在は米国在住のフィディアス・パナイオトゥ氏。米実業家イーロン・マスク氏とのハグを実現したとして一躍有名になった人物で、238万人の登録者を擁する。
この日本における不正行為を収めた動画はコミュニティガイドラインに違反しているとして、25日までに削除された。いっぽう、その切り抜き動画やスクリーンショットが他のSNSに再投稿され続けている。この電車企画はいつ撮影したのか、また同氏が今も日本にいるのかどうかは不明だ。
同氏の動画は、ヒッチハイクや公共交通機関の不正利用を繰り返す模様を語る様子を映している。泊まっていないホテルで朝食ビュッフェに立ち入る方法や、トイレに隠れて西九州新幹線の運賃を踏み倒す方法を話している。
九州旅客鉄道(JR九州)はAFP通信の取材に対して、事態を認識しており、警察への相談を検討していると答えた。
パナイオトゥ氏は過去にも似たような不正行為を英国、欧州、インドでも実施しており、日本の動画が停止したと同時にこれらも削除された。しかし、同氏のチャンネルは閉鎖されていない。
8月には、ジョージ・ソマリを名乗る米国のユーチューバ、イスマエル・ラムジー・カリド容疑者が大阪市内でホテルの建設現場に立ち入ったとして不法侵入で逮捕、起訴された。同氏の動画には「フクシマ」と繰り返し叫びながら、建設現場作業員に追い出される様子が収められている。
同容疑者は日本各地で、店舗内での大音量の音楽再生や、原爆投下を揶揄する言葉を電車内で連呼するなどの問題行動を取り、騒動を収益化するコンテンツを作り続けている。
こうした彼らの予期せぬ行動を想定して、G7広島サミット前、警察や自衛隊がテロ対策訓練の一環として共同訓練を行なったことがある。2月実施の訓練では、3人の迷惑系ユーチューバーが強引に東京・小平市の陸上自衛隊駐屯地に侵入したとの想定で訓練を実施した。
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