北京が半ば戒厳令的状態
中国共産党の前首相であった李克強氏の遺体は、10月27日の夜、北京に到着し、301病院(中国人民解放軍総病院)に安置されている。現在、北京は未曾有の緊張感に包まれ、半ば戒厳令のような状態と化している。
公式な中国共産党の発表によれば、李氏は心臓発作により逝去したという。しかしながら、外部の情報源からはその発表に疑義が呈されている。李氏の旧宅である安徽省合肥市は献花された花で溢れているものの、中国共産党の厳格な監視の下、北京では大規模な追悼行事は認められておらず、インターネットで確認できるのは、李氏の母校、北京大学での献花のみである。
■北京、半ば戒厳令的状態に 未曾有の緊張感が漂う
10月29日の情報によると、北京は事実上、戒厳令的な状態にある。公式の発表はないものの、多数の武警が北京に展開しているとされる。
情報提供者によると、公式には、大気汚染を名目に市民の外出を制限し、特に北京の各大学は全ての活動を中止し、キャンパスの出入りを禁じる通知を出している。また、隣接する河北省や天津の大学も同じような措置をとっているという。
「現在の状況は極めて緊迫しており、かつての『六四天安門事件』直後の雰囲気を彷彿とさせる。公式の追悼の形式もとらず、遺体の到着にも特別な儀式は設けられていない。北京の各所では平服の警官や武警が目立ち、天安門における献花は完全に禁じられている」と、情報提供者は伝えている。
さらに、情報提供者は、北京の市民の中で、李氏の死因に関する憶測として、暗殺の噂が囁かれているとも言っているが、公然とこれを語る者は皆無であるとも付け加えている。
大紀元の取材によれば、10月31日までの北京の天気予報では、中程度の大気汚染が予想されている。
米国に亡命する以前のメディア関係者である趙蘭健氏は、現在の北京の管理が非常に厳格で、インターネット上の情報の多くが遮断されていると述べている。
趙蘭健氏が北京にいるメディア関係の友人から聞いたところによると、現在、WeChat(微信)や携帯のショートメッセージは全て監視下にあり、李克強氏に関する情報には特に敏感である。情報の少しの動きが検知されると、地域の住民委員会が直ちに訪れるという。趙蘭健氏は、かつてその友人が警察署に呼び出された経験があるとも語っている。
インターネットの情報によれば、北京の公安当局は、ECサイト運営者に対して、花やろうそくといった供養品を購入した人々のデータと、配送先情報の提供を求めている。そのデータの対象範囲は清華大学、北京大学、団中央、天安門、府右街、八宝山、中央党校、全国学連、全国青連、中央青年政治学院などで、毎時の注文データのフィードバックが要求されている。そして、関連する注文の発送は制限されている。
独立した評論家で作家でもある蔡慎坤氏はXプラットフォーム上で、現在流布している情報に基づき、李克強氏の葬儀は簡素化される可能性が大きいと述べている。その理由として、政府が追悼式に参列する人々の感情をコントロールできないこと、特に強権的な政治の状況下でのコントロールの難しさを挙げている。政府は、葬儀に参列する人数を厳格に制限し、北京外からの参列や外国の政府関係者の参列を認めていない。何をそこまで恐れているのか。大掛かりな葬儀で民衆の死因への疑問を解消することができるはずだが、今では公的な場での追悼さえも行われない状況である。
■中国共産党、六四事件の再現を恐れる
李克強氏の突然の死は、今、多くの人々の関心を集めている。彼は漢方医学の病院に搬送されたが、心筋梗塞の治療成功率が96%と高い上海の中山医院には送られなかったことは理解し難い。インターネット上では疑問の声が絶えず、また各地で市民が 自発的に李克強氏を追悼する動きが見られる。これが、中国共産党を不安にさせているのである。
現在の中国の市民の李克強氏への追悼の様子は、1989年の胡耀邦の死後の状況と酷似している。胡耀邦の死は、六四事件の直接の原因となったのだ。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。