このほど、中国の不動産業界のある関係者が、ネットに発表した文章が削除されたことがわかった。
その文章とは「広東省深センの不動産価格が、40~55%にわたって大暴落している現状」を指摘する内容であったという。
削除そのものは、中国経済についてマイナスの情報を検閲する中共当局(国家安全部)が行ったのか、あるいは当局からの処罰を恐れた投稿者が、身の危険を感じて自ら削除したのかは分からない。
削除されたという文章は、深センのマンションなど多くの集合住宅の価格を比較列挙したうえで「深センの不動産価格の大幅な下落は(今後の)投資や住宅購入の戦略を見直す必要が生じるため、投資家や住宅購入者にとっては重要な変化となる。この情勢は、不動産市場に大きな打撃を与えることになる」など、今後の見通しを指摘したものになっている。
同文章は今月8日から中国のネットで見られ、一度は4大ポータルサイト「網易(ネットイース)」などにも転載されたため、ホットな話題になっていた。
これを受けて、ネット上では「一線都市である深センでさえも、この在り様だ。他の都市の住宅価格がどれほど悲惨であるか、想像がつく」といった議論が交わされるとともに、すでにマイホームを購入した多くの人にとっては「資産価値が大幅に減った」として、ため息が広がった。
ただし、なかには「深センの不動産価格は、一線都市のなかでも『最も水増しされたもの』である。そのため今回の下落は、本来あるべき状態に戻されただけだ」という見方もある。
いずれにしても、経済を予測する正確なデータ、および問題を指摘する論評がネットから削除されるような現状は、今後の中国経済を一層危うくする要因に他ならないだろう。
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