今月20日、香港政府公務員事務局長の楊何蓓茵(イングリッド・ヨン)氏は、香港の議会にあたる立法会の公務員事務委員会で「535人の職員が宣誓書への署名を拒否し、その全員が公務員を辞めた」と発表した。この535人の職員は「正規の公務員ではない契約職員」であるという。
香港で民主化を求める大規模なデモ(2019)が行われてから、4年以上が経つ。現在の香港では、反政府的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)が施行されているため、かつての香港の自由は完全に窒息状態にある。
香港における民主派の排除を狙う中共政府は、中共にとっての「愛国者」による香港統治をいっそう進めたため、香港の民主派議員全員が辞任した。2021年5月には、明らかに「愛国者」重視の選挙制度改正案が可決されている。
2020年10月、香港政府は同年7月1日以降に新たに採用される公務員に対し「宣言書」への署名を義務付けるとともに、上級職(部長など)に任命された公務員には「忠誠を誓う」ことを求める通達を出している。
公務員がこの宣言書への署名や宣誓を拒否した場合、任命条件を満たしていないとみなされる。
2021年5月より、香港政府は正規の公務員ではない契約職員に対しても、忠誠を誓う宣言書への署名を求めることになった。このため、香港政府(つまりは中共政府)に忠誠を誓うことを拒否し、あえて辞任を選ぶ香港人職員も少なくない。彼らは、たとえ生活上必要な職業を失っても、中共に屈服することを拒否したのだ。
中共に屈服することを拒否し、離職を選ぶ香港公務員の「不屈の気概」について、ネット上では称賛の声が広がっている。
香港では、中共による中国式の「愛国教育」も近年急速に進められている。香港の教育現場においても、教師は「国安法(中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法)」への忠誠を求められている。
また、中学や高校の新版教科書は「香港は英国の植民地ではなかった」といったような、中共政府の意向に完全に沿った記述に変えられている。
そのため「(中共に)塗り替えられた歴史を生徒に教えるくらいなら、いっそ教壇から降りる」として、教育への情熱を持ちながら、涙をしぼって辞職する香港人教師も少なくない。
昨年、香港の小中高校では、約3500人の教師が辞職している。
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