外務省がパスポート発給窓口の担当者を日本国籍を持つ人に限定するよう、47都道府県の担当部署に通知したことが27日、同省関係者への取材で分かった。東京・池袋のパスポートセンターに勤務する中国人女性が1920人分の個人情報を持ち出し、警視庁に書類送検された事件を受けての対応だという。
外務省関係者は取材に対し、24日に東京都と警視庁の発表の前から通報を受けており、「なんとかしなければならないと、急ぎ検討を進めていた」と語った。
旅券(パスポート)の発行業務は旅券法による規定があり、本来であれば外務省が行うべきところ、実際には各都道府県に法定受託している。関係者は「各都道府県が民間業者に再委託する場合がある。都道府県によっては、民間に再委託せずに、臨時職員を雇って業務を行う場合もある」と指摘した。
外務公務員法は国籍要件を設けており、外国籍を持つ人は外務省職員などの「外務公務員」になることはできない。いっぽう、窓口担当者は外務公務員に当たらないため、国籍による制限がなかったという。
スパイ行為に詳しい元捜査官の坂東忠信氏はXで「スパイじゃなく『窃盗』として逮捕」したことについて、「みんな、分かってくれ。スパイ防止法がない公安のここまでに至る努力と苦労と悔しさを」と投稿。スパイ防止法の必要性を訴えた。
このほか、「公安が動いたということはその手のニュースなのだろう」「スパイをとりしまる法律がないため軽罪で処理されてしまう」などの懸念する声が聞かれた。
東京都は窓口業務を「エースシステム」(東京都)に委託していた。書類送検された女性は同社の契約社員として2020年5月〜今年3月にかけてパスポートセンターで窓口業務を担当していた。その際、旅券発給申請書や戸籍謄本等に記載された氏名、住所、電話番号等の情報を、付箋に書き写すなどして不正に持ち出していた。
東京都によると、今回持ち出された個人情報の更なる第三者への漏えいは確認されていない。
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