中国共産党の浸透工作に新たな手口 今度は「道教」を利用

2024/03/02 更新: 2024/03/02

中国共産党は民間信仰の「道教」を利用して、統一戦線工作スパイ工作)を行っている。近日成立した「世界道教連合会」はまさにそのような性格を帯びた組織であり、専門家は「第2の孔子学院」と見なしている。

中国に信仰の自由はなく、宗教団体はすべて中国共産党統一戦線工作部の監督下に置かれている。統一戦線工作部はスパイ機関であり、共産主義イデオロギーを世界各国に伝播するための役割を担っている。

1月30日に北京で開催された世界道教連合会の発足式では、会長の李光富氏は「国内外の道教信者が世界の平和的発展のために団結し、協力できるプラットフォームになりたい」と述べた。

宗教を用いた統一戦線工作

中国共産党は自国民が宗教を信仰したり、宗教活動に従事したりすることを禁じている。習近平も「共産党員は確固たるマルクス主義的無神論者でなければならない」と繰り返し強調している。

1950年代、中国共産党は宗教を支配下に置くため、道教協会や仏教協会、カトリック愛国協会などを設立した。文化大革命期には、共産党の承認を受けていないすべての宗教組織を取り締まった。さらに、監視役や偽の信者を宗教団体に送り込み、監視体制を構築した。

国内で宗教や文化の破壊を行うかたわら、中国共産党は世界162の国と地域において、541カ所の孔子学院と1170カ所の孔子学堂を設立し、共産主義イデオロギーを宣伝している。

孔子学院と孔子学堂は中国語を教え、中国文化を伝播する教育・文化機関であるかのように標榜しているが、実際は中国共産党が影響力を及ぼすために世界各地に設立した「親中派養成所」に他ならない。

中国道教協会会長職も兼任している李光富氏は2017年、中国国営メディア新華社通信のインタビューで「孔子学院が世界各国にあるように、道教もグローバル化しなければならない」「孔子学院の経験を吸収し、各国へ道教文化を伝播する準備をすべきだ」と主張した。

李光富氏は「一帯一路」を大きな機会として捉えて、「一帯一路」とともに道教を国際社会に広めていく考えを示した。

評論家の諸葛明陽氏はエポックタイムズの取材に対し「孔子学院の実態は各国で暴かれており、効果が著しく低下している。そこで、中国共産党は宗教や文化交流を名目に、隠密かつ巧妙に統一戦線工作を繰り広げようとしている」と語った。

元中国首都師範大学准教授で、中国問題専門家の李元華氏も同様の見方を示した。孔子学院と世界道教連合会は利用するものが異なるだけで、中国共産党のイデオロギーを伝播するという点では同じ穴のムジナだと指摘した。

「台湾統一」の布石

米国ジョージ・ワシントン大学の研究者である郭宝勝氏は、中国共産党は特に台湾に対する統一戦線工作を目的として世界道教連合会を設立したのではないかと考えている。

「台湾には多くの道士(仏教の僧侶に相当)がいる。そのため、中国共産党は宗教という絆を利用して影響力のある道教の指導者を誘き寄せ、中国共産党のためにプロパガンダを行わせることができる。重大な局面に差し掛かったとき、共産党の駒として動かすことができる」

米国在台湾協会(AIT)が発表した「2021年国際宗教自由報告書」によると、台湾人のうち49.3%が伝統的な民俗宗教を信仰しており、そのうち12.4%が道教であることが分かった。

中国の伝統的な民間信仰である道教は台湾だけではなく、ベトナムやシンガポール、カンボジアなどの東南アジア諸国でも大きな影響力を持っている。

道教の開祖とされる老子の著作『道徳経』は16世紀初めにラテン語訳されており、欧米諸国では学術研究の対象にもなっている。

皮肉なことに、今日の中国の道教は完全に赤化されている。最近では、道士たちが中国共産党に忠誠を誓う動画がネット上で話題となり、人々の嘲笑を買っている。

諸葛明陽氏は、中国本土の道教の教えは中国共産党のイデオロギーに置き換えられ、もっぱら共産党に忠実な「愛国者」を生み出すために利用されていると指摘した。

Lynn Xu
Shawn Lin
関連特集: 浸透工作