岸田文雄首相は20日の衆院予算委員会で、企業の政治献金について「一企業の献金が政策全体を左右するとは考えられない」と述べた。無所属「有志の会」の福島伸享議員の質問に対する答弁。
福島議員は官報を引用して、自民党への5万円以上の企業献金(2022年度)は1261社から約25億円に上ることを指摘。献金総額は自民党が野党だった2010年に比べ与党復帰後の2022年は1.5倍に増えていると述べた。
このほか、石油連盟が民主党政権時代の2010年は0円だったのに対し2022年は5千万円を献金したことや、野村ホールディングスや大和証券などアベノミクスで恩恵を受けた証券会社の献金が1千万円から3千万円以上に、三菱重工業など防衛政策で利益を得る企業の献金も3千万円近くに増加した例を列挙した。
「これでは企業・団体献金は政策をカネで買っていると言われても仕方ないのでは」と批判した。
福島議員はさらに、「こうした企業・団体献金によって政策が歪められ、平成時代に必要とされた経済構造の転換や大企業・中小企業間の取引慣行の改革が遅れ、日本がアジアの二流国に転落した要因となった」と主張した。
これに対し、岸田文雄首相は「各団体の与党に対する期待や判断はそれぞれだが、政治団体が多様な主体から様々な収入を得ることが政策立案の中立性やバランス確保に重要だ」と反論。
「政策立案プロセスを考えても、一企業の献金が政策全体を左右するとは考えられない」との見解を示した。
その上で、「政治資金の信頼性を高め、民主主義の基盤や国民の理解を再び確実なものとし、政策課題に結果を出す政治の実現が重要だ」と強調した。
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