生存環境が悪化の一途とたどる中国では近年、ショッピングモールや川の橋から飛び降りて自殺を図る事件が絶えない。
この事態に対処するために、各地で自殺防止のための「監視員」が常駐するようになったことがわかった。
「橋監視員」
昨年5月、四川省宜賓市(ぎひん-し)の橋「長江大橋」では半月の間に12人の若者が飛び降りた。このうち救助されたのはわずか4人だった。
この宜賓市や重慶市の橋ではあまりに橋からの飛び降り自殺者が多いため、この事態に対処すべく「橋監視員」が常駐するようになったようだ。
しかし、たとえ橋の監視員がいても、完全に飛び降りを根絶させることは難しい。
今月16日にも宜賓市の「長江大橋」からは3日連続で市民が飛び降りたとする情報があるが、その時、「橋監視員」は勤務中だったという。
SNSに投稿された動画などから、山西省の省都である太原市では「5月10~14日の間に毎日のように橋からの飛び降り自殺者がいる」ことや、広西省の首府・南寧市の橋「邕江(ようこう)大橋」では「1か月で6〜7人が飛び降りた」ことを示している。
関連投稿をめぐっては、「私はよく河(「邕江」)の近くを通りかかるが、飛び降りる人をじつによく見かける、今朝も1人いた」「広西省の人間だけど、こっちでは1日のうちに10人は飛び降りたよ」といった自殺の目撃証言が大量に寄せられている。
【橋からの自殺者の関連動画はこちら】
大型ショッピングモールの吹抜けにも監視員
5月8日、南京市のショッピングモールの7階から若い男性が飛び降り自殺した。飛び降りる様子を映した動画のなかには、躊躇なくフェンスを乗り越えて飛び降りる男性の姿があった。
しかし男性は飛び降りる前、フェンス近くにいた女性がその場を離れるのを待つ様子を見せており、「女性のそばから飛び降りると彼女を怖がらせてしまうのではないか」と心配していたようだ。
自殺する前の若い男性のそんなささやかな「優しさ」が拡散されて、関連トピックスは中国SNSのトレンド入りした。
動画を撮影した市民は「この男性が飛び降りたショッピングモールではその後、階ごとに飛び降り再発防止のための監視要員が常駐するようになった」と話している。
また、同モールの様子を映した画像によると、二重にフェンスが設置されているフロアもある。自殺しようとする者が1つ目のフェンスなどを乗り越えてから2つ目のフェンスを上るまでの間に、「監視員」による救助が間に合うよう「時間稼ぎ」をするための設計ではないかと推測される。
近年、中国本土では飛び降り事件が多発しており、大型ショッピングモールの吹抜けや川にかかっている橋が恰好な「飛び降りスポット」となっている。
4月27日にも、広東省広州市南沙区にあるショッピングモール「環宇城商場」で女性の飛び降り自殺事件が発生した。飛び降りた女性は下にいた別の女性に衝突し、女性を負傷させている。自殺の原因は「建設途中で放置された未完成マンション」と関係があると噂されている。
今、不動産業界がどん底の状況にある中国では、一生のお金をつぎ込んだマンションが、不動産開発業者の経営不振により建築が未完成のまま放置されるケースが見られる。その中には、代金を支払ったものもあれば、まだローンが終わっていない場合もある。
5月15日にも広東省広州市天河区にある巨大ショッピングモール「正佳広場」の6階から「赤い服」を着た女性が飛び降り自殺をしている。この女性は生前「自分をいじめた悪者を庇い、結託する法執行機関(公安や裁判所)に失望した」「怨霊になって彼らに復讐してやる!」とSNSに書き残していたとされる。
中共(中国共産党)による3年間にわたる「ゼロコロナ政策」はすでに弱体化している中国経済を完全に破壊した。ゼロコロナ終了後、中国経済は回復するどころか衰退の一途をたどり、人々の期待はやがては絶望に変わった。
昨年4月以降、中国各地で様々な凶悪事件、一家惨殺事件、無差別殺人事件、社会報復事件、自殺が頻発している。
この由々しき事態に、SNS上では「なぜ中国はこんな国になってしまったのか」「中国共産党が統治する中国はもはや人間が住む場所ではなく地獄と化した」といった嘆きの声も少なくない。
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