ワクチンをめぐって 潮目が変わった? 医学雑誌が扱い始めたコロナワクチン被害

コロナワクチン被害に関する研究はもうタブー視されてない?

2024/06/04 更新: 2024/06/04

論評

新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )が2020年初頭に世界を席巻したとき、私はネイチャー・メディシン誌やランセット誌、その他いくつかの医学雑誌から、この新たな疾病に関する最新情報を得ていた。

2020年3月、ネイチャー・メディシン誌に掲載された「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の近位起源」と題する論文を興味深く読ませてもらった。カリフォルニア州を拠点とするスクリプス研究所のクリスティアン・アンデルセン氏をはじめとする4人の著名な教授らが執筆したこの論文は、SARS-CoV-2がコンピューターの予測よりもはるかにヒトの細胞に結合しやすいとし、「SARS-CoV-2は意図的な操作の産物ではない」と結論づけていた。

私は世界最大のワクチン会社に10年以上務めた科学者として、この主張に異議を唱えた。2022年5月に発表した「パンデミックの教訓:科学的議論が封じられ、致命的な結果に」と題した論評で、次のように書いた。

「もしSARS-CoV-2がコンピューターの予測以上に人々に感染するのであれば、コンピューターが終わっているというだけの話だ。この世界的に有名な科学者たちは、どうして基本的な論理をここまで間違えてしまったのだろうか?権威ある出版物であるネイチャー・メディシン誌はどうしてそれを見抜けなかったのだろうか?査読はさておき、論文を発表する前に誰も読まなかったのか?」

論文の結論は、アンデルセン氏が2020年1月31日にアンソニー・ファウチ博士に送ったメールの内容から急変更させられていた。当時、ファウチ博士は米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長だった。

メールの中でアンデルセン氏は、コロナウイルスについて「人工的に操作された(可能性がある)ように見える特徴がある」と書いていた。このメールは2021年6月に、情報公開請求によって明るみに出た。

このネイチャー・メディシン誌の論文は、新型コロナウイルスの起源に関する根拠となった。それによって、中国共産党とファウチ博士は実質的にウイルス発生の責任を免れ、ウイルスの起源に関して自然発生以外の可能性を探ったり、調査しようとすれば、陰謀論のレッテルを貼られることになった。

2023年6月、アンデルセン氏の論文が、米議会で開かれた「コロナウイルスのパンデミックに関する特別小委員会」の公聴会で主題となった。新型コロナウイルスの起源をめぐる議論は今でも続いている。

ランセット誌とダスザック氏らの声明

中国共産党とファウチ氏の機嫌を取ろうとしたのは、アンデルセン氏とネイチャー・メディスン誌だけではなかった。

2020年2月18日、もう1つのトップ医学雑誌であるランセット誌が、科学的根拠のない政治声明を発表した。声明は、「新型コロナウイルスは自然由来ではない」といった指摘は全て陰謀論であると片付けた。

今年5月1日に発表された米議会の報告書によって、この声明がエコヘルス・アライアンスのピーター・ダスザック氏によって企画されたものだったことが明らかになっている。エコヘルス・アライアンスは、国立衛生研究所(NIH)から武漢ウイルス研究所に資金を流す仲介役となった非政府組織だ。声明には次のようにある。

「我々は、新型コロナが自然由来ではないことを示唆する陰謀論を強く非難するために共に立ち上がる」「陰謀論は恐怖、噂、偏見を生み出し、このウイルスとの闘いにおける我々の世界的協力を危うくするだけだ」

こうして「公式見解」が決定された

ダスザック氏らの声明とアンデルセン氏の論文が、いわゆる「公式見解」を決定付けた。「ウイルスは自然由来である」という論調は、「新型コロナワクチンが(感染流行の)曲線を平らにし、世界を救うだろう」といった言説へと拡大した。そこにあえて異議を唱える科学者や医師、学術誌の編集者は封殺され、「陰謀論者」「反ワクチン主義者」といったレッテルを貼られた。

世界が最初にSARS-CoV-2に遭遇してから4年半が経過した。ファウチ氏やアンデルセン氏のような有名な科学者が「新型コロナウイルスは自然発生した」と唱え、一流のウイルス学者や公衆衛生の専門家たちが全精力を注いだが、その証拠はまだ見つかっていない。

今では、武漢ウイルス研究所からウイルスが漏らされた、あるいは流出したと考える人が増えている。同研究所が行ってきたコロナウイルスの機能獲得研究は、2015年にネイチャー・メディシン誌から発表されている。論文の謝辞には、NIHから資金提供があったことが記載されている。

研究所流出説はもはや陰謀論ではない。米エネルギー省FBIも、このウイルスは自然発生よりも研究所から流出した可能性が高いと考えている。

心強い進展

パンデミック以来、エポックタイムズと新唐人テレビは新型コロナウイルスの起源とワクチン被害に関するドキュメンタリーを公開してきた。ジョシュア・フィリップ氏が最初に公開したドキュメンタリー「武漢コロナウイルスの起源を追う」は、様々なプラットフォームで合計1億回以上視聴されたが、他のレガシーメディアにこういう報道はほとんどない。

こういった話題に関する科学研究や出版もタブー視されてきた。しかし、最近はその流れが変わりつつあるようだ。

最近、ネイチャー誌やネイチャー・メディシン誌と同じシュプリンガー・ネイチャー・グループが出版している査読付き医学雑誌Cureusに、5人の日本人研究者による新たな論文が掲載され、私も解説記事を書いた。

日本の研究者らは、日本の全人口1億2300万人から収集したデータを分析し、2022年における11万5799人の超過死亡の大部分は新型コロナウイルス感染によるものではなく、むしろワクチン接種、とりわけ3回目接種によるものと結論づけた。

これまでタブー視されていたテーマが、査読付き医学雑誌に、しかもシュプリンガー・ネイチャー・グループ所有の雑誌に掲載されたことに、私は嬉しい驚きを覚えた。

もう1つの明るい進展として、International Journal of Biological Macromolecules(IJBM)誌に「レビュー:N1-メチルシュードウリジン: がんの味方か敵か?」と題する論文が掲載された。論文では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの主要成分とがん発生との関連性が示された。

IJBM誌はオランダの学術出版社エルゼビアが所有している。ランセット、セル、サイエンスダイレクトなどの有名出版物もエルゼビア社が所有している。

学術誌の編集長よ、フォースと共にあらんことを

2022年の春、それまで受け入れられていたナラティブに多くの科学者が異議を唱え、真実を追求し始めた。その時期に私は、「フォースと共にあらんことを:科学者らの反撃」という解説を共同執筆した。

当時、勇気ある科学者たちは得られる限りの助けを必要としていた。例えば、ある学術誌がmRNAワクチンの安全上の懸念に関する論文を発表した際、学術誌の編集長が更迭された。論文は事実に基づき、よく研究され、きちんと書かれていた。

その学術誌は、同じくエルゼビアが発行するFood and Chemical Toxicology誌で、編集長はホセ・ルイス・ドミンゴ博士だった。

あれから2年が経ったが、私はもう楽観視している。IJBM誌の編集長がドミンゴ博士のような扱いを受けることはないだろう。

なぜかって?それは、潮目が変わったと信じているからだ。

ニューヨーク・タイムズのコロナワクチン被害に関する最近の記事も良い兆候の1つだ。記事では、米食品医薬品局(FDA)のジャネット・ウッドコック前長官代行の発言が報じられている。ワクチン被害は「深刻」かつ「取り返しのつかない」ものであり、「真剣に受け止めるべき」と、ウッドコック前長官代行は述べている。

「私は自分自身に失望している。とても上手くいったと思うことはたくさんあるが、そう思えなかったことも若干あり、これはそのうちの1つだ」

記事では、ワクチン誌の編集長であるグレゴリー・ポーランド博士が受けた被害も紹介されている。ポーランド博士は最初の予防接種以来、耳鳴りに悩まされたが、米国疾病対策予防センター(CDC)は報告を真剣に受け止めなかったという。記事の中でポーランド博士は次のように述べている。

「(CDC)から何の動きも感じられなかった」「もし彼らが(ワクチン被害に関する)研究を行ったのであれば、出版すべきだ」

ワクチン誌はエルゼビア社の出版物だ。ポーランド博士は編集長として、ワクチン被害に関する研究を促せる立場にある。

なので、私は潮目が変わったと信じている。

しかし、今でもダスザック氏の声明はランセット誌のウェブサイトに掲載されたまま。アンデルセン氏の論文も、まだネイチャー・メディシン誌に掲載されたままだ。

この2つの著名な学術誌は、いつになったら勇気を出してこれらを撤回するのだろうか。いつになったらコロナワクチン被害に関する研究を発表し始めるのだろうか。

参考文献

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https://www.theepochtimes.com/health/pandemic-lessons-learned-scientific-debate-silenced-with-deadly-consequences-4256843

https://www.theepochtimes.com/epochtv/new-email-reveals-what-fauci-knew-about-wuhan-lab-gain-of-function-experiments-truth-over-news-5439612

https://www.washingtonpost.com/politics/interactive/2021/tony-fauci-emails/

https://www.scripps.edu/news-and-events/press-room/2023/20230404-andersen-niaid.html

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https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2820%2930418-9

https://oversight.house.gov/wp-content/uploads/2024/04/2024.05.01-SSCP-Report_FINAL.pdf

https://www.theepochtimes.com/health/expert-on-aluminum-toxicity-forced-out-of-university-4886099

https://www.theepochtimes.com/author/aaron-kheriaty

https://www.theepochtimes.com/health/editor-in-chief-of-renowned-science-journal-ousted-for-publishing-science-questioning-covid-19-vaccine-safety-4830112

https://www.nature.com/articles/nm.3985

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https://www.theepochtimes.com/epochtv?utm_source=epochtv

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https://www.theepochtimes.com/epochtv/the-unseen-crisis-vaccine-stories-you-were-never-told-documentary-5240019

https://www.theepochtimes.com/epochtv/documentary-tracking-down-the-origin-of-wuhan-coronavirus-3313091

https://www.theepochtimes.com/health/joe-wang-japans-excess-deaths-hit-115000-following-3rd-covid-shot-new-study-explains-why-5634129

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9012513/

本記事で述べられている見解は筆者の意見であり、必ずしもエポックタイムスの見解を反映するものではありません。

Joe Wang
ワクチン業界で10年を越える経験を持つ分子生物学者。現在は新唐人テレビ(カナダ)の社長兼エポックタイムズのコラムニストでもある。