「弱者の味方」を信条とする中国の人権派弁護士・王全璋氏の息子「泉泉くん(11歳、本名、王広微)」は当局による嫌がらせにより入ろうとする学校からことごとく入学を断られ続け、学校に通えない期間が1年以上続いている。
王全璋夫妻は先月から学校へ行けずに塞ぎ込む泉泉くんを連れて「遊学」を始めた。
旅をするうちに、徐々に苦しみから抜け出し、新たなことにも積極的に挑戦し始め、自ら勉強をし、スポーツにも意欲的に取り組んでいる。そんな子供らしさを取り戻した泉泉くんをみて、夫妻は大きく安堵しているようだ。
(遊学中の王氏一家)
「子供の教育を受ける権利」を奪う当局
王全璋氏は、数々のえん罪や法輪功弾圧事案を手がけるなど「弱者の味方」を信条とする弁護士だ。
2015年7月、中国全土で、王氏を含む約300人の人権派弁護士や活動家が一斉に拘束された「709の大拘束」事件以来、王氏も1千日以上消息が途絶えていた。
3年近いその期間中、王氏は中国当局から電気ショックなどの拷問を受けていた。
王氏は、後に国家政権転覆罪に問われて4年6か月の実刑判決を受け、2022年4月まで服役した。出所後は家族との再会を果たしたが、弁護士資格は剥奪され、いまも当局の厳しい監視下に置かれている。
王氏は出所後も当局者による執ような嫌がらせが続き、一家は2か月間で13回も引っ越しを余儀なくされた。
「息子のために新しい学校を見つけるたび、その学校にまもなく公安が現れ学校の教師に嫌がらせをする。そうして次の日、私たちは『子供はうちの学校に来ないで』と学校から告げられる」と王氏は明かしており、そうして泉泉くんは何度も退学を余儀なくされてきた。
「教育を受ける権利」を奪われるのは泉泉くんだけではない。同じく北京在住の人権派弁護士・李和平氏一家も、当局の監視や嫌がらせに遭い、李氏の娘も昨年6月から「休学」を余儀なくされている。
「当局による嫌がらせや監視のせいで、娘は普通に生活することも学校に通うこともできない。娘の精神状態にも影響が出たため、娘を連れて北京を離れて旅行しながら暮らすしかない」と李氏の奥さんは明かした。
「中国共産党当局は長年、人権活動家に対して、その子女をも巻き込んだ『安定維持』を行ってきた。親のせいでその子供が学校へ通えなくなるケースは自分以外の多くの人権活動家の身に起きている」と王全璋氏は指摘する。
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