中国は3年連続で、百万長者が最も多く流出した国になる。今月18日に公表された最新報告によれば、過去2年間に中国から流出した高純資産者の数が世界で最も多く、2024年にはその数が記録的な1万5200人に達すると予測されている。これは、中国経済にさらなる打撃を与えることになる。
18日、国際的な投資移民のコンサルティングファームであるHenley & Partnersが『2024年ヘンリー個人資産移住報告書』を公開し、百万長者たちの最新の純流入及び流出に関する詳細を特集している。
報告書によると、今年は約1万5200人の中国の富裕層が国外に移住する見込みで、(2023年の1万3800人から)増加している。彼らが中国を離れる主な理由は、経済の不透明さ、地政学的な緊張の高まり、そして海外での新たなチャンスに惹かれ、多くの人が新しい進路を模索している。
報告書によると、この数値は中国にとって前例のない富の流出を示している。
Henley & Partnersは移民がどれほどの富を持ち出しているか正確には分かりにくいとしているが、New World Wealthの研究責任者であるアンドリュー・アモイルズ氏は、「経験則として、最も多く流動する人は3千万ドルから10億ドル(約47億5千万円から1584億円)の資産を有する高純資産の個人たちだ」と指摘している。
ここ数年で、中国の富の全体的な増加ペースが鈍化しており、これが富裕層の国外流出により大きな影響を及ぼす可能性があることを示唆している。2017年以降、中国経済の成長が鈍化し、それに伴い富の蓄積や百万長者の数の増加も緩やかになっている。
不動産市場の危機が続く中国では、中間層の資産が大きく目減りし、地方政府の借金も増加の一途を辿っている。国際通貨基金は、不動産市場の問題により、中国が「高い不確実性」に直面していると今年に入って指摘した。信用評価機関のフィッチ・レーティングスは4月に、中国の国家信用をネイティブに引き下げた。これに先立ち、ムーディーズも昨年12月に同様の評価を下した。
中国の富裕層が海外へ移住する流れは長年にわたって見られるが、北京の権威主義的な政治体制への不満は、新型コロナウイルスの根絶を目指した時期に一層高まった。新型コロナウイルス対策の規制が緩和された後、さらに多くの中国の富豪たちが海外移住を急ぐようになっている。
中国から移住する富裕層にとって、長らく人気の高い移住先にはシンガポール、アメリカ、カナダがあるが、日本も新たな移住先として見逃せない。
日本の不動産業者や人口の流出に注目する専門家たちも、中国の経済成長の鈍化と株価の低迷が、富裕層が中国を離れる一因になっていると指摘している。昨年末の時点で、日本には約82万2千人の中国人が居住しており、これは前年から6万人増え、近年における最大の増加を示している。
近年、特にカナダのブリティッシュコロンビア州で中国系コミュニティの増加が目立ってる。バンクーバーは北米で最も魅力的な目的地の一つとなり、過去10年で人口が25万人以上増え、新しいビジネスが至る所で起こり、住宅価格も急騰している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。