中国 背景に「地方政府の深刻な財政難」

「シェア・バイク」にも罰金? 理由は「ナンバープレートつけてないから」=中国

2024/06/30 更新: 2024/06/30

6月23日、中国広東省広州市で街のシェアサービスの「電動バイク」に乗っていた市民が「ナンバープレートをつけていない」という理由で罰金を科されたことがわかった。

「これは、シェア・バイクを借りている市民の責任ではないだろう!」この事態に、通行人も憤慨する。

「なぜナンバープレートをつけていないシェア・バイクに運営の許可が下りているのか」「納得いく説明をしろ!」と通行人が問い詰めると、交通警察は「そんなことは自分たちの管轄ではない」「なぜ運営を許可されているのかという質問は(管轄する)交通局に聞け」と一蹴する。

この世にも奇怪な「事件」を記録した動画が中国SNSで拡散され物議を醸している。この件について、通行人と同様の質問を中国メディア記者が再度、罰金切符を切った交通警察の部門に電話で問い合わせた。すると、同じ答えが返ってきたのだ。

「シェア・電動バイクの運営を許したのは現地の政府だが、街に乗り出せば交通警察の管轄になる。ナンバープレートをつけていないならば、当然ながら処罰(最高で880~1100円の罰金)の対象だ」という。

この事件はネットユーザーの怒りに火を付けた。「現地政府がナンバープレートをつけていないシェア電動バイクの運営を許可し、そして交通警察はそのシェアバイクに乗った市民に罰金を科す。みごとな罠だ」「金欠過ぎて血迷ったか」といった反発が殺到。

なかには、「これはナンバープレートをつけているか、つけていないかの問題ではない。ただの罰金をとるための口実に過ぎない。ナンバープレートをつけていたら、今度はヘルメットを着用していないとか、走ってはいけないところを走っただとか、いくらでも罰金の名目はある」と嘆く声も少なくない。

(「ナンバープレートをつけていない」として交通警察に罰金切符を切られる市民、中国広東省)

 

背景に「地方政府の深刻な財政難」

中国の地方政府は今、深刻な財政難のなかにある。その地方政府の傘下にある公安・警察部門も、例外なく「金がない」状態だ。

そこで収入を増やすため、交通取締まり部門が全力で進めているのが、必死になってなんとか交通違反の理由をでっち上げ、ささいな事にも罰金を科す「公務執行」である。

ところが、この「罰金とり」に躍起になるあまり、なんと警察車両が交通事故を起こす例が、中国の各地で多く見られている。そうした事例もふくめて、ネット上では「交通警察による、やりたい放題の違反切符切り」の話題は尽きない。

今回のような「危険過ぎて、もはや故意殺人レベル」と言っても過言ではない、悪質過ぎる事例から、街中で白昼堂々フォークリフトなどの重機を使い、きちんと駐車可能な区画内に駐車していた車を駐車禁止の場所へ移動させ、あえて駐車違反を「作り出して」罰金切符を切るケースもあるという。

さらには警官が「走るバイクを突き飛ばす」「走るバイクの前に障害物を投げ込む」といった人命を全く無視した「乱暴な公務執行」も、たびたびニュースになっている。

(「当り屋まがい」な手口を使って車両を止める雲南省の交通警察、2024年5月10日)

 

関連記事

もはや故意殺人レベル 罰金稼ぎに狂う、中国交通警察の「危険すぎる実態」(こちらをクリック

交通警察による「当たり屋」まがいの罰金徴収手口、中国雲南省(こちらをクリック

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 中国