完全無人の自動運転タクシーの普及が最も進んでいる中国・武漢市では時々、この街ならではの笑わざるを得ない「大渋滞」の原因がある。
「人間のように思いやりをもって譲りあう」ことを知らないのか、対峙する「無人タクシー」の姿を捉えた動画が複数SNSに投稿されている。
ある動画のなかには、無人タクシーを手掛ける同国IT大手・百度(バイドゥ)の自動運転移動サービスプラットフォーム「蘿蔔快跑」の文字が車体に書かれた2台の無人タクシーが出会い頭で対峙していた。
(対峙する無人タクシーが大渋滞を引き起こしている現場、武漢)
この2台の「睨めっこ」の状態があまりに長く続いたため、道路は大渋滞になった。この大ピンチに、市民の通報で駆け付けた交通警察が何人も現場に来ているが、みな「お手上げ」の状態だという。
それもそのはずで、中には「誰もいない」のだから。これには罰金取りや横暴な取り締まりにかけては「天下無敵」と悪名高い中国の交通警察でも、どうすればいいか分からなかったようだった。
余談だが、ネット情報では「百度の無人タクシーは交通警察の指示は聞かない」そうだ。
別の動画のなかでも、無人タクシー2台が仲良く「睨めっこ」する。その後ろにはどこまでも続く渋滞の列があった。
(「睨めっこ」する無人タクシー)
「袋」にビビる
さらに別の動画では、路上に落ちている「袋」の前で止まり、大渋滞を引き起こす「無人タクシー」の姿があった。
この事態に動画投稿者も「出勤ラッシュ時に、コレだけは勘弁してくれ!」と祈るしかないようだ。
最終的には、心優しい男性が無人タクシーの前に「立ちはだかっていた」、いや、要するに「ただ落ちていた」その「障害物(袋)」を拾い上げてどこかへ持っていってくれたのだ。障害物消失により、ようやく無人タクシーも前へ進むことができ、その後に続いていた渋滞もやっと解消された。
(「障害物(袋)」の前で止まり、渋滞を起こしている無人タクシー)
渋滞を引き起こすぐらいならまだ笑って済ませられるが、無人タクシーが実際に衝突する事故もつい最近起きている。今月7日午後、武漢市の交差点で、無人タクシー(乗客なし)と電動バイクの衝突事故が発生した。バイクに乗っていた男性に「目立った外傷はない」という。
無人タクシーを手掛けるIT大手・百度(バイドゥ)は「電動バイクが信号無視したため」と一方的に主張しており、また中国メディアもこの百度の主張を取り上げて報道しているが、「実際のところは、どうなのか?」という疑問を捨てきれない人も少なくないという。
米国では昨年、歩行者が無人タクシーに轢かれる事故も実際に起きており、「安全性」や「渋滞を引き起こさない知恵」、事故の際の法整備など課題がまだまだ山積みのようだ。
(武漢のある湖北省の無人タクシー)
関連記事
「完全無人タクシー」と電動バイクが衝突=湖北省武漢市(こちらをクリック)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。