中国陝西省で26日、「腐ったリンゴを載せたトラックがジュース工場へ入っていった」と訴える動画がネット上で話題になった。
動画撮影者で目撃者でもある地元民・王さんは、「トラックが入っていったあのジュース工場では、腐ったリンゴを原料に使ってジュースを作っているのではないか」と疑っている。
中国メディアの取材に応じた王さんは次のように明かしている。
「自分は毎日通勤でこの工場の前を通るが、ここはいつも臭いんだ。数百メートル離れたところでも腐ったリンゴの腐敗臭が漂ってくる」
「昨日、トラックに近づいて調べてみた。トラックの防水シートの隙間から積み荷のリンゴを2個取り出して確認すると、やはり腐っていた。トラックに積まれた腐ったリンゴは、水分が流れていたようだ。トラックが止まっていたあたりの地面はそういう水で濡れ、悪臭を放っていた」
「以前もこのように腐ったリンゴを積んだ複数のトラックが、あのジュース工場(礼泉安德利果蔬汁有限公司)に入っていったのを見たことがある」
(王さんによるSNS投稿)
暗黙の了解
関連報道が世論の注目を集めると、問題のジュース工場の職員は「腐ったリンゴが工場に入るのを防ぐことはできない」と弁解し、「しかし、工場では果物を選ぶプロセスがちゃんとある」と主張。
現地の市場管理当局も、同工場に対する調査に乗り出しており、現在、同工場は製品販売の停止を命じられている。
いっぽう、ネット上では、ジュース工場側の「果物を選ぶプロセスがある」の主張に対する反発の声も少なくない。
「工場の審査が本当に厳しいのなら、こんなに大量の誰の目にも明らかな腐ったリンゴを、誰がわざわざ運賃や労力かけて運んで来るというのか? 悪臭を放っていても、売れるのを知っているから運んできただろうに」
また、関連動画には「良いリンゴはジュースに使われない」「うちのところはみんなそうだよ、腐った果物はジュース工場に売られる」といった声が多く寄せられている。
根源は「道徳低下」
中国の食品安全の問題について、時事評論家の李沐陽氏は次のように指摘する。
「中国共産党統治下の今の中国では、人々は利益を最大化するためであれば、もはや手段を選ばなくなった。『自分が食べなきゃいい、他人のことは知らん』と考える人があまりに多いから、その結果、互いに傷つけ合っている」
「劣悪な厨房環境のほか、いまの中国人の食卓には、『地溝油(下水道の廃油を集めて原料にした油)』や『煤制油(石油用のタンクローリーで運ばれた食用油)』、『死体油(人や動物の死体を原料につくられた油)』が並べられている。これはもう人間界とは言えない、地獄と同じだ」
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