「これぞハロウィン最恐キャラ」と華人圏のSNSに多く投稿されるのは、お化けでも吸血鬼でもなかった。そこに映るのは、町なかの公安集団(本物の警察集団)だった。
ホラーBGM付き動画など関連投稿には、「(コスプレの)大仏さまもイエス・キリストも、孫悟空も正義の味方のバットマンもみんな、公安に捕まった。公安こそ最恐なホラーキャラ」などと、共感が広がっている。
(コスプレイヤーの行く手を阻むハロウィンで最恐キャラ『公安集団』)
実際、中国ではハロウィンに限らず、警察や公安は、庶民にとってはいつでも「最恐キャラ」である。
常識的にいえば、警察や公安は普通、正義の味方。しかし、それが中国となると、事情はとんでもなく違う。
利益に目がくらんだのか?
あるいは強権を前に屈服せざるを得なかったのか?
いずれにしても、権力者の手先に成り下がる警察が少なくない中国では、警察は「必ずしも正義の味方」であるとは限らないのだ。
もちろん中には一部善良な公安もいる。
しかし、不審死を遂げた子供の学校前で、抗議をして説明求める遺族を「弾圧」、不当に銀行預金を凍結されて抗議をする預金者を「弾圧」。
強制的な土地徴用や家屋取り壊しの現場でも泣き叫ぶ市民を「弾圧」。
不公を受けて陳情しようとする市民を暴力的に拉致をして「弾圧」。
(幼児を抱いた女性を、路上に倒す中国の公安。幼児は投げ出され、コンクリート地面に頭を打ち付けている。公安による、とんでもない犯罪行為である)
「安定維持」の場に必ず現れては、当局側の手先として不正を訴える庶民を「弾圧する」イメージがすでに定着しているためか、民間人がついに怒りを爆発させ、警察や公安関係者に刃物などを手にして反撃するケースが後を絶たない。「公安殺害」などのニュースを聞けば、歓声を上げる一部庶民が、必ず現れるほど、嫌われ者になっているようだ。
華人圏に流れる有名な動画に「大勢の武装警察を前に、手に線香持ち、跪いて邪気払いするお婆さん」というものがある。「ピューリッツァー賞モノ」と多くの華人が評するこのわずか10秒の動画は、現代中国に対する最上級の風刺とされている。
中国共産党統治下の中国では、官・民間の対立がかつてないほどまでに激化している。
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