中国の多くの地方政府が今、深刻な財政難にあえいでいる。
そのような状況で、地方財政を支えるために少しでも罰金を取ろうとして、市民を苦しめていることは、もはや通常のことであり、珍しいニュースとはいえなくなっている。
昔から「交通警察の暴走」はあったが、近年では「罰金を稼ぐため」に、ここまでやるのかと驚きを禁じ得ないケースも少なくない。
例えば、駐車可能エリアに置かれた車を、ドライバーが車を離れた隙に、フォークリフトで駐車禁止の場所に移動させ、罰金を徴収するケースも実際にあったという
このような、「そこまでやるのか?!」と日本の常識では全く理解できないことを本当にやってのけるのが、中国の交通警察である。
つまり、違反を「作り出して」でも稼ぐのだ。
今回も、ドライバーが違反するよう、仕向ける手口が明らかになった。
もちろんその後、監視カメラから「違反(させられた)車両」を特定して、罰金切符を切るのを忘れない恐るべき罠(ワナ)である。
「ワナ」
先月、北京の交通警察による卑劣な「収益創出戦術」が現地市民の男性によるネットでの告発で明らかになった。それは、まずはパトカーで片方の道を塞ぎ、後から来た自動車が本来ならば車線変更禁止の「実線」を越えるよう仕向けて罰金徴収する手口だ。
当然ながら、ワナにかかって実線を越えたら即、罰金切符を切られる。
運悪くワナにかかった告発者の男性のもとには、「(させられた)違反」の翌日、しっかりと罰金切符(100元/約2千円)が届いた」という。
男性は、最初の違反の後、しばらくしてまた同じ場所を通ることになった。すると、またしても同じところにパトカーが止まっていたのだ。2度目は、さすがに男性も1度目と同じ過ちは犯さなかった。男性は車をパトカーの後ろに停め、歩きでパトカーのところまで行き、「もう少し前へ行ってください、ここは追い越し禁止だから後ろが困る」と交渉した。すると、車内の警察は嫌々前へ進んだ。
それから、またしばらくして、男性はまたまた同じ場所を通ることになった。「またパトカーが止まっているかもしれない」とイヤな予感しかしない男性。ワナにかからぬよう、最初から右側を走ることにしたという。すると、案の定、いつもの場所にまたしてもパトカーが止まっていた。男性はついに怒り心頭になり、パトカーとすれ違った際に、窓ガラス下ろしてパトカーに向かってこう叫んだ。「もう少し前へ行ってくれませんか、後ろの車はあなたの車のせいで罰金を科される、あんたわざとなんだろう?」すると、パトカー内の警察から「文句あるなら車から降りて来い」と脅され、男性は怖くなってそのまま「逃げ」たという。
「同じ場所で同じ事、2度も3度も起きているんだ、それを『わざとじゃない』と言われても誰が信じるというのか?」と、男性はその後、関連部門に苦情言うだけ言ったが「わかった」という答えが返ってくるだけだという。
「交通警察は絶対確信犯」と信じて疑わない男性は「これ以上自分みたいな被害者が増えてほしくない」と考え、「ワナ」が仕掛けられている場所を位置情報付きでこの件をネットに暴露するに至ったという。
(北京の男性による告発動画「交通警察によるワナ」)
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