F-35Bの納入が4月に 米国駐日大使が懸念示す装備品納入遅延

2025/01/10 更新: 2025/01/10

中谷元防衛相は10日の記者会見で、6機の最新鋭ステルス戦闘機F-35Bの配備が当初予定していた今年度内から、4月以降にずれ込む見通しであることを明らかにした。防衛省は今年度中に航空自衛隊の新田原基地(宮崎県)にF-35Bを6機配備する予定だったが、搭載ソフトウェアの改修が遅れ、機体の納入が間に合わない状況にあるという。

F-35Bは短距離離陸および垂直着陸(STOVL)能力を持つバリアントであり、洋上や短い滑走路でも運用可能な設計となっている。日本におけるF-35Bの運用は、改修が進む「いずも」および「かが」護衛艦、そして新田原基地や那覇基地を拠点に展開する予定である。特に南西諸島周辺の防衛力強化を目的としており、中国共産党(中共)の軍事的進出への抑止力としても期待されている。

中共空軍は、第五世代戦闘機「J-20」を2017年3月に実戦配備し、2019年には東シナ海や南シナ海での飛行訓練を開始している。このような中国の動きに対抗し、日本政府は2018年12月に新たな防衛計画大綱と中期防衛力整備計画を閣議決定。F-35シリーズを合計105機購入する方針を固めた。その中で、42機をF-35Bとし、離島防衛や南西諸島への迅速な展開を可能にする構想を打ち出している。

ロシアや中共による海洋進出への対応が求められる中で、F-35Bの導入は日本の防衛戦略において重要な役割を果たすとされている。特に、南西諸島の防衛力を強化することで、領土・領海を巡る安全保障環境の安定に寄与することが期待されている。

戦闘機を始めとする防衛装備品の納入の遅れについては、製品未納入の問題が指摘されている。米国の要請により、日本政府が23年に輸出を認めた三菱重工グループによる地対空ミサイル「パトリオット3(PAC3)」のライセンス生産も、米側からの重要部品の提供の遅れにより、生産計画は未達となっている。

ブルームバーグによると、今年、3月で任期を終えるラーム・エマニュエル駐日米国大使は防衛装備品の納入遅延が米軍や同盟国に与える悪影響を目の当たりにしてきたと指摘。同氏はアメリカの防衛産業大手は設備投資より株価の向上を優先させており、アメリカの安全保障と抑止の信頼性にとって「中国より大きなリスクだ」とその経営姿勢を批判している。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
関連特集: 日本の防衛