中国上海が家禽販売の禁止を発表した。インフルエンザAや鳥インフルエンザの流行中の不透明な情報管理が、疑問を招いている。病院が満員になる中、政府の隠蔽が尚も進行中なのである。鳥インフルエンザが深刻化し、ヒトへの感染へ変化する可能性も危惧されている。
3年前に世界中で猛威を振るった感染症は、今も不安をもたらしている。特に中国共産党(中共)の統治モデルの下では、情報が厳しく隠蔽されているため、懸念が高まっている。
最近、中国本土で再び感染症が流行し、病院は満員で楽観視できない状況だと言う。中共の公式保健部門は現在、中国にインフルエンザA型、鳥インフルエンザ、偏肺肺炎(肺の一部分だけに影響を及ぼす肺炎の一種)、Q熱という細菌による感染症(発熱、倦怠感、咳などの症状を引き起こすCoxiella burnetiiという細菌によって引き起こされる)などが存在すると発表している。
同時に、上海市商務委員会が突然3年間の生きた家禽取引禁止を発表し、外部の注目を集めている。ウイルス専門家によると、この文書は異例であり、中国本土ではすでに鳥インフルエンザが大流行している可能性があると言う。
疾病管理予防センターがインフルエンザA型の流行を報告、上海が3年間の生きた家禽取引禁止を発表
テレビプロデューサーの李軍氏は、新唐人テレビの「菁英論壇」番組で、2024年12月23日に中共上海商務委員会が発表した文書について言及した。この文書では、2025年1月1日~27年12月31日の3年間、生きた家禽の取引を禁止する規定を実施するとしている。
李軍氏は、政府が公表した情報によれば、上海で鳥インフルエンザの流行はないにもかかわらず、なぜこの措置が取られているのか疑問を呈した。中共によると、2024年11月に中国で確認された鳥インフルエンザ感染例はわずか2件であり、2023年の最初の11か月間に報告された件数も23件に過ぎない。このデータからは、上海が3年間生きた家禽の販売を停止する理由は見当たらない。
しかし、上海では最近インフルエンザの流行が深刻化している。上海新華中医病院の王医師によれば、5人の子供がインフルエンザAで救急室に入院しており、その中には人工呼吸器を使用している子供や、救命できなかった子供、重度の脳炎を併発した子供もいる。
一部の市民は、最近多くの人が、感染後に繰り返し検査を受けているが、インフルエンザAやB型、新型コロナウイルスではなく、どのウイルスかは不明で、ただウイルス感染であることだけがわかっていると投稿している。
これは新しいウイルスなのか? 江蘇省のネットユーザーは、彼らの地域で正体不明のウイルスが出現し、死亡率が非常に高いと報告している。彼の知人の統計によると、感染死亡率は40%以上に達している。
李軍氏は、インフルエンザウイルスの陽性率が急上昇しているため、病院は人であふれていると述べている。
北京小児病院の救急室、感染科、発熱外来はすべて満員である。
ある三級甲等病院(最高級レベル)の感染科主任によれば、1月初旬の外来患者数は昨年12月初旬の5倍以上に増加していて、また、天津、武漢、西安などの地域でも、小児病院で同様の受診ピークが見られ、毎日の救急患者数は1万人を超えていたと言う。
中国疾病予防管理センターの最新の説明によると、現在の流行の99.6%はA型H1N1インフルエンザ、すなわちA型インフルエンザである。
鳥インフルエンザがすでに流行している恐れがあると警告
最も懸念されるのは、持続的なヒトからヒトへの感染への変化である。
アメリカのウイルス専門家で、中共の危機対応委員会の林暁旭(りん ぎょうきょく)博士は「菁英論壇」で、今年の公式データによると、検出された人のインフルエンザウイルスの99%がH1N1に属していると述べている。これは特異な状況である。
通常、毎年の人のインフルエンザウイルスは主に季節性インフルエンザで、A型H3N2が主流で、一部はB型インフルエンザである。
しかし、ほぼすべてがH1N1であることは、今年のH1N1に大きな突然変異があり、季節性インフルエンザを圧倒していることを示唆している。現在、この変異遺伝子配列に関する報告はなく、中国の実際の状況は不明であるが、上海が生きた家禽の売買を禁止し始めたことから、最も懸念されるのは、鳥インフルエンザがより深刻なヒトーヒト感染に変化することである。ここには、複数の鳥インフルエンザウイルスが関与していると思われる。
まず、H9N2についてである。H9N2は中国の家禽養殖業で広く流行しており、養鶏業にとって大きな脅威である。このウイルスは低病原性であるが、広範囲に伝播している。現在、H9N2によるヒト感染例もあり、子供の感染も報告されている。
重症や死亡例はないものの、このウイルスが人間に感染し始めていることを示している。将来的にヒトからヒトへの持続的な伝播が起こるかは不明である。
林暁旭氏は、一部の中国の研究所がH9N2ウイルスの変異に関する研究を続けていることを、本当に懸念していると述べた。揚州大学の研究チームは、H9N2ウイルスの哺乳類での伝播力を強化する機能獲得研究を行っている。
2020年に共産党党首の習近平は各省にP3、P4実験室の設置を指示した。それ以来多くの地域が急いで設置を進めたが、ウイルス研究の危険性を十分に理解しないまま機能獲得研究を行うことが、非常に懸念される。
大紀元の主筆の石山氏は「菁英論壇」で、この問題は真に恐ろしいと述べている。多くの人々は、数年前の新型コロナウイルス感染症(COVID-19、中共ウイルス)が武漢のウイルス研究所から発生したのではないかと疑っている。当時の実験は、新型コロナウイルスの機能獲得研究で、人体での生存可能性を調査していた際に漏洩した可能性がある。
現在、彼らが再び鳥インフルエンザの増強研究を行うことは、非常に恐ろしい事態なのである。
林暁旭氏は確かに恐ろしいと述べる。鳥インフルエンザウイルスに関しては、過去に低病原性ウイルスを用いた研究で、通常P2実験室で行われる。しかし、機能獲得研究によって、哺乳類での伝播力が強化されると、人への感染力も強化されるのではないかと言う疑問が生じるのである。
これは大きな問題である。さらに、H9N2ウイルスは異なる鳥類間でも伝播し、エジプトの研究によれば、一部のコウモリもこのウイルスを伝播する。H9N2ウイルスのN2には免疫逃避機能のある可能性があり、これは危険な状況である。
また、H5N6鳥インフルエンザウイルスについて、H5N6は高病原性で、中国の養鶏業でも多くの発生例がある。さらに、H5N1も高病原性の鳥インフルエンザで、国際的に注目されている。中国におけるH5N1のヒト感染例は減少しているが、ヒトからヒトへの感染は報告されていない。
ただし、散発的なヒト感染例があり、懸念される。したがって、上海が他の地域よりも迅速に行動したのは、より慎重であるためと考えられる。
林暁旭氏は、生きた家禽の売買を禁止する場合、まず広東地域での禁止が必要だと考える。南部では生きた家禽の取引が非常に活発であり、武漢周辺では先に禁止すべきである。
上海が先に禁止したことは、同地域の公衆衛生部門がより慎重になっていることを示す。中国本土では、養鶏業において、最近大規模な鳥インフルエンザが発生し、さらに多くの人への感染が起こる可能性が確認されているのだ。
林暁旭氏は次のように述べる。現在、中共当局は、人々が異なる鳥インフルエンザウイルス株に感染した事例を適時に報告していない可能性がある。また、一方で通常の呼吸器検査で鳥インフルエンザを検出できる検査キットが十分に準備されていないという現実的な問題もある。
そのため、病院にこれらの検査キットがなければ、感染者がいても、どのウイルスに感染しているのかがわからない可能性がある。H1N1やH3N2の検査方法では、人に感染した鳥インフルエンザを検出できないため、特殊な検査キットが必要である。
このような状況下で、もし実際にH5N1に感染した人が比較的多く存在する場合、検査が追いつく必要があり、そうすることで初めて実際の規模が明らかになる。
したがって、一方で当局が実際の状況を正確に伝えていない可能性があり、他方で多くの地域的な発生が、適時に検出されていない可能性がある。これを最も懸念している。
中共の疫病隠蔽と視聴者の混乱
林暁旭氏は「菁英論壇」で述べた。現在、中国本土で言及されているQ熱(Q Fever)はウイルスではなく、人と動物の両方に感染する細菌で、主に感染した動物の糞尿に存在し、人がこれらの動物に接触することで感染する。Q熱は現在、中国で特に大きなリスクはなく、単なる孤立した事例に過ぎない。
一方、ヒトメタニューモウイルスは非常に一般的な呼吸器感染症で、これまで重症化せず、死亡例もほとんどなく、感染後約2週間で自然に回復するため、鼻風邪のようなウイルスと同様にあまり重視されてこなかった。そのため、中共政府が、ヒトメタニューモウイルスを取り上げているのは、人々の注意をそらすためかもしれない。
林暁旭氏は次のように述べた。「一部の情報はメディアの誇張や当局の意図的な広報によるもので、新しいウイルスが広がっている印象を与えている。しかし、実際には新型コロナウイルスの流行は続いており、世界的にも収束していない。中国本土の一部の病院では、新型コロナの検査を行わなくなったため、実際の状況は不明である。また、多くの呼吸器感染症の症状は非常に似ている。そのため、当局がヒトメタニューモウイルス肺炎と発表しても、他のウイルスとの共感染の有無は完全には確認できていないのだ」
また林氏は、「私が最も懸念しているのは、依然として鳥インフルエンザウイルスである。アメリカのカリフォルニア州は、生きた家禽の売買を今後数か月間禁止する令を出した。昨年以来、アメリカでは66件の人間の鳥インフルエンザ感染が報告され、これは昨年で、世界で最も高い数字である。信じられない状況なのである。アメリカの公衆衛生部門は、鳥インフルエンザの人間への感染拡大や、養鶏業でのさらなる拡散を非常に重視しており、専門家たちも懸念している」
「私は、上海の状況がカリフォルニアと関連していると考えている。したがって、世界的に注目すべきは、鳥インフルエンザがより深刻に発生するかどうかである」
林暁旭氏は、中共は常に真実を隠していると述べた。「今日、上海が生きた家禽の取引を禁止した理由は何か? それを裏付けるデータはどれほどあるのか、中共はなぜ明らかにしないのか? 上海は家禽の養殖基地ではない。もし懸念が本当にあるのなら、どのルートで大量の感染が見つかったのか? 情報は不透明であり、中共がいつものように実際の状況を隠している」
「また、過去1年間で養鶏業界がどれほど打撃を受け、何か所の養鶏場が撲滅されたか? 感染が発生すると、その群れの家禽はすべて殺処分される。このような事例はどれほどあったのか?」
上海がこの行動を取り、広州がまだ行動を取っていないことは、当局が情報を隠していることを示している。南部で先にこの状況が発生し、その後に上海が「この件に特に注意しなければならない」と言うはずだ。
再び大規模な疫病が発生した場合、中国の医療システムは対応困難か
ベテランジャーナリストの郭君氏は「菁英論壇」で、中国の状況が懸念される理由として、中共が政治目標のために、情報を意図的に制御し、隠蔽していることを挙げた。新しいウイルスの変異が中国で出現しても、共産党は国際社会に関連データを提供しないし、これまでもしていない。これは以前にも起こった問題である。共産党は隠蔽だけでなく、原始データを破棄していることがさらに恐ろしいことだ。
過去1年間、中共は、病院と医療従事者に対する大規模な粛清を行っており、彼らが稼ぎすぎていると考えて収入を減らそうとしている。昨年12月の報道によれば、広州と深センの医師の給与は30~50%減少した。これは広東省だけでなく、全国的な問題である。
郭君氏は言う。「2023年、中共は病院と医療システムの汚職を徹底的に清算し、病院長や主治医に収入を返還させた。ある病院長は4億人民元を返還し、調査対象の病院長の家からは2億人民元以上が見つかった。また、昨年から医療システムの給与削減が始まり、主に業績給が大幅に減少した。医師の主な収入源は業績給である」
郭君氏は続けて言う。「中共が、2023年から医療システムの汚職を取調べ始めたタイミングは非常に重要だ。2020年~22年は、新型コロナウイルスの大流行の時期であり、この間、中共は全面的なゼロコロナ政策を採用した。これにより、中国全土のほとんどの人々が、自宅に閉じ込められ、頻繁に都市や村が封鎖され、健康コードが導入され、全国が緊張状態にあった。しかし、このような対応の結果、民衆の不満が高まり、白紙革命が起こった。2022年にはゼロコロナ政策は強制的に終了した」
「したがって、私は2023年の医療システムの汚職取調べは、中共が民衆の不満をそらし、感情を発散させるためのものであると考える」
医師の収入が半減したことは、深刻な結果をもたらす可能性が高い。
再び大規模な疫病が中国で発生した場合、この医療システムが効率的に対応できるかどうかは、懸念される問題である。
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