東京商工リサーチの調査によると、コロナ禍で急成長したインターネット通販などの「無店舗小売業」の倒産が急増している。2024年の倒産件数は169件(前年比45.6%増)となり、前年の約1.5倍に達して過去最多を記録した。
また、「休廃業・解散」も261件(前年比21.3%増)と、前年を1.2倍上回る最多件数となった。倒産と休廃業・解散の合計は430件(同29.9%増)に達し、前年の331件を99件上回っている。
ネット販売が定着し、EC(電子商取引)市場は拡大を続けている。かつては店舗とオンライン販売を併設する形態が主流だったが、近年は店舗を持たないネット専業の業態が増加している。ネット専業は、出店に伴う初期投資や人件費などのコストを抑えられるため、小資本での参入が可能だ。さらに、営業エリアや時間の制限を受けない販売スタイルも大きな強みとなっている。
しかし、参入障壁の低さから異業種からの新規参入が相次ぎ、競争が激化している。結果として、価格競争は激しくなり、採算が取れず市場から撤退する企業が急増している。
小規模・新興企業に倒産集中
2024年に倒産した無店舗小売業のうち、負債規模5千万円未満の企業は130件と全体の約8割(76.9%)を占めた。負債5億円以上の倒産はなく、従業員5人未満の企業が153件(90.5%)と9割を超えた。また、設立10年以内の倒産が全体の64.2%を占め、新興企業の倒産が目立つ。
価格競争で優位に立つ大手企業に対抗するには、商品開発力や品揃え、ブランドイメージ戦略などによる差別化が不可欠だ。競争が激化するなか、独自の付加価値を提供できない小規模事業者を中心に、業界の淘汰がさらに進む可能性が高い。
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