日本製鉄によるUSスチール買収計画 対米外国投資委員会が再審査結果をトランプ大統領に報告

2025/05/23 更新: 2025/05/23

日本製鉄による米大手鉄鋼メーカーUSスチールの買収計画をめぐり、アメリカ政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が再審査を行い、その結果をトランプ大統領に報告したことが明らかになった。ロイター通信など複数の報道機関が2025年5月22日に伝えた。

この買収計画は、日本製鉄がUSスチールを約141億ドル(約2兆円)で買収するというもので、実現すれば日本製鉄は世界第2位の鉄鋼メーカーとなる規模だ。しかし、米国の国家安全保障上の観点から、買収の是非が慎重に審査されてきた。

CFIUSは21日までに再審査を終え、トランプ大統領に勧告書を提出した。NHKやロイター通信によると、CFIUSの審査では委員全員の意見が一致しなかったものの、多くのメンバーは「安全保障上のリスクは適切な軽減策を講じることで対処可能」と考えていると、ホワイトハウスの関係者が匿名を条件に明らかにした。ただし、勧告の具体的な内容は公表されていない。

この買収計画は、2025年1月にバイデン前大統領が国家安全保障上の理由から一時的に禁止命令を出していた。その後、トランプ大統領が4月にCFIUSに再審査を指示し、今回の報告に至った。

今後は、トランプ大統領が6月5日までに買収の可否について最終判断を下す見通しである。日本製鉄は、買収が認められた場合、USスチールの設備更新や新工場建設などを含め、総額140億ドル(約2兆円)規模の投資を実施する計画を表明しており、米国内の雇用や産業基盤の維持・強化をアピールしている。

今回のCFIUSによる再審査と勧告は、米国の鉄鋼産業や安全保障、さらには日米経済関係にも大きな影響を与える可能性があり、トランプ大統領の最終判断が注目されている。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
関連特集: 日本経済