航空自衛隊は、アメリカ空軍が主催する大規模訓練「レゾリュート・フォース・パシフィック(REFORPAC)」に、2025年7月9日から8月4日まで初めて参加する。防衛省航空幕僚監部が6月30日に発表したもので、日米同盟の抑止力と対処力の強化、そして部隊の戦術技量や相互運用性の向上を目的としている。
訓練には航空自衛隊から約3,100人と約50機の航空機が参加し、アメリカ軍からは約2,000人が参加予定であり、F-35戦闘機を含む約350機を投入する。訓練は、アメリカ軍がハワイや米本土から部隊を西太平洋各地に展開し、機動展開や戦闘訓練を行う。
日本国内では、自衛隊施設、在日米軍施設や区域、日本周辺の空域でも行われる予定だ。主な訓練内容は、防空戦闘訓練、戦闘機の展開訓練、滑走路被害復旧訓練、患者後送訓練など多岐にわたる。

具体的には、防空戦闘訓練が7月9日から30日まで日本周辺空域で行われ、戦闘機展開訓練は7月14日から18日に米海兵隊岩国航空基地で実施される。また、滑走路被害復旧訓練は7月21日から8月4日まで千歳基地や三沢対地射爆撃場、小松基地などで行われる予定である。患者後送訓練や米軍戦闘機の展開訓練も各地で実施される。

米空軍は西太平洋地域の広い範囲で訓練を計画しており、実現すれば米空軍史上最大規模の演習となる見込みである。
この訓練を通じて、航空自衛隊は戦術技量の向上を図るとともに、米アメリカ軍との連携をさらに深め、インド太平洋地域における抑止力と対応力の強化を図るとしている。
アジャイル・コンバット・エンプロイメント:迅速な戦闘展開
この訓練は、アジャイル・コンバット・エンプロイメント(ACE、Agile Combat Employment:迅速な戦闘展開)という新しい運用方法や、戦闘中の兵站、複数の拠点から戦闘力を発揮する能力を試すものであるという。目的は、米軍が実際の戦場でも効果的に作戦を行えるようにすることだ。
ACEとは、大きな基地に戦力を集中させるのではなく、小規模で分散した拠点に部隊を展開し、柔軟に運用するという米空軍の方針である。
アメリカの軍事専門紙STARS AND STRIPESによると、3月4日に開催された空軍・宇宙軍協会の戦争シンポジウムで太平洋空軍司令官のケビン・シュナイダー大将は、「安全な固定基地だけに頼る時代は終わった。インド太平洋の広大な距離や新たな脅威に対応するには、分散した拠点で柔軟に作戦できる部隊が必要だ」と述べている。
訓練の参加国と対象国
太平洋空軍は、どの国が訓練に参加しているかは公表していない。しかし、シュナイダー司令官は3月5日の発表で、「この訓練はオーストラリア、韓国、フィリピンといった国々との協力関係が強まっていることを示している」と述べている。
また、同紙が受け取った太平洋空軍からのメールでは、「この訓練は特定の事件や争い、特定の国を対象にしたものではない」と説明している。ただし、太平洋空軍副司令官ローラ・レンダーマン中将は、北朝鮮のミサイル、ロシアの爆撃機、中国軍の増強やインド太平洋での強硬な動きなどが、この地域で直面している複雑な課題だと指摘しているという。
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