米国への5月の海外資本流入が3111億ドル 欧中で対照的な米国債保有動向【2025年最新データ】

2025/07/19 更新: 2025/07/19

米国には過去8か月で最大規模となる3111億ドルの海外資本が流入した。一方、中国は米国債保有額を7563億ドルに減らし、16年ぶりの低水準になった。対照的に、カナダや西側主要国は米国債の保有を拡大しており、アメリカの資産市場や流動性の高さが再評価されている。

米国財務省が2025年7月17日に発表したデータによれば、同年5月、アメリカには海外資本が大規模に回帰し、単月の純資本流入額は3111億ドルに達した。これは過去8か月間で最大の流入である。海外投資家は米国債の買い戻しに加えて、アメリカ株式への投資も積極的に行い、政策と市場の不確実性が続く中で、アメリカ資産を「かけがえのない存在」と評価している姿勢が明らかになった。

米国債を主要に保有する国々の中で、中国は明確に異なる動きを見せた。5月に中国は米国債の保有額を7563億ドルまで減らし、2009年以来の最低水準を記録した。西側諸国が一斉に保有を拡大する中で、中国の動きは対照的である。

米国債と株式が資金を吸引 長期証券の買い越し額も過去最高に

米財務省の国際資本流動(TIC)報告書によれば、2025年5月、外国によるアメリカの長期証券純買入額は2594億ドルに達し、過去最高を更新した。
「長期証券」とは、満期が1年以上の米国債、政府機関債、社債、株式などを指す。

特にアメリカ株式市場に対する海外資本の回帰が顕著であり、株式への単月純流入は1143億ドルに達した。投資家はリスク資産にも再び注目している。短期証券や銀行債も含めた5月の総純資本流入額は3111億ドルに上り、4月の146億ドルの純流出とは明らかな対照を見せた。

中国の米国債保有、16年ぶりの低水準に 輸出の鈍化を反映

中国は5月も米国債の保有を縮小し、7563億ドルまで減少させた。この水準は2009年2月以来で最も低い。これで減少は4か月連続となった。

2012年から2016年にかけては、中国の米国債保有は1.3兆ドルを超えていたが、それと比べて著しく減少した。アナリストの分析では、中国は人民元の為替レートを維持するために米国債を売却しており、パンデミック後の経済減速や産業構造の問題、貿易障壁による輸出鈍化とドル収入の落ち込みが背景にあるとされる。

西側諸国は保有を拡大 カナダの米国債保有が過去最高に

一方、西側主要国は米国債の保有を増加させた。5月、トランプ政権による関税政策や政治的圧力があるにもかかわらず、カナダは顕著な純買い越しを記録した。同月、カナダは米国債券および票据を658億ドル購入し、保有総額を617億ドル増やして4300億ドルとし、過去最高を更新した。

イギリスも保有額を8094億ドルまでわずかに増やし、今年3月以降、中国に代わって米国債保有第2位の国となっている。

最大の保有国である日本も米国債を小幅に増やし、保有額は1.14兆ドルに達した。アナリストは、アメリカの財政赤字が高水準で推移しているにもかかわらず、各国が米国債への資金回帰を進めている事実に注目し、「市場が米国債の高い流動性と安全性を依然として信頼している」と指摘する。

米国債の市場規模と流動性は他に比肩するものがない

アメリカの財政赤字が膨張している状況下でも、アナリストは外資が米国債の安定性と流動性を評価しているとの見解を維持している。

JPMorgan Investment Managementのポートフォリオマネージャー、プリヤ・ミスラ氏は「市場の深さや流動性という観点から見て、米国債に代わる資産は存在しない」と述べた。

「市場の深さ(Market Depth)」とは、大量の取引を価格に大きな影響を与えることなく吸収できる能力を指す。世界中の資本が安全な避難先を求める中、米国債はいまも最も流動性の高い準備資産の一つと位置づけられている。

陳霆
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